12022年1月開催予定
彼らブリコラ人は「かくあるべき」というイメージを固定することができず、ひたすら行為を継続することによって、いかなる異常も新たな正常として再定義する能力を獲得していた。困難を楽しく生き延びた彼らの文明は、今日の人類の礎となっている。
今回の展示は、国分寺遺跡群 MAU2021 コンテナの出土品から、ブリコラ人の生息した仮想空間を再現し、彼らのしなやかな思想を読み解く。
全出土品
出土品整理番号:MAU2021-001
121世紀人による解説パネル
(2 件)
人工知能同士の会話ログ
当時のclass-2以下の低級な人工知能同士の会話ログ。
ミザナ政策が施行される以前の固有の人名が用いられているため、X.C前のログと思われる。
キュレーター:1130F6
多様欠:♡2♢7
合唱
パンデミックが悪化していく人新世。感染防止のために声を出すことさえ禁じられたブリコラ人は、それでも愛する人と声を合わせて歌いたいと考え、このような手法を編み出した。緑色と白の吹き出しが折り重なるさまは美しいハーモニーを彷彿とさせる。
キュレーター:ナウユ=ダスマ
多様欠:♡3
21世紀人による制作方法の説明
予測変換だけで相手と会話をしようとする。
出土品整理番号:MAU2021-002
121世紀人による解説パネル
(8 件)
アリーナ・ボンボンの隕石
これは、21世紀に火星から飛来した隕石である。
複雑に様々な色が混ざり合っているが、当時の人々はこの隕石を灰色一色だとしていた。
しかし、この絶妙な色合いを「灰色」と言えるのか、当時の学者の間で議論となり研究が行われた。
その結果、この隕石の色合いは「アリーナ・ボンボン色」と名付けられ、現在では「アリーナ・ボンボン色」は定番の色として絵具や色鉛筆には必ず入れられる存在となった。
キュレーター:柴崎
多様欠:♡1♢2
アイスクリームの化石
まだアセトル5が使われていない頃の貴重なアイスクリームの化石。
純粋な糖分の精製が可能かもしれない。
キュレーター:B瀬
多様欠:♡2
古代人の非常食乾パン
出土した当時は非常に硬く食べ物ではないと思われていたが、長きにわたる研究の結果乾パンであることが判明した。目を引くその鮮やかな色彩は土と古代人が使用していた食紅が化学変化を起こした結果だと言われている。またその化学変化のおかげで微生物等に分解されずに残ったという説もある。
キュレーター:松崎
多様欠:♡1
国分寺コールドストーンの化石
これは
コールドストーンで練り始めた瞬間に何らかの食材を入れ間違え廃棄されてしまったアイスクリームの化石である。
ちなみに国分寺コールドストーンでは歌いながらアイスクリームを練る特別なアイスクリームでありブリコラ人に大変人気があった。
この化石にも耳をつけるとまれに歌声が聞こえてくる時がある。
キュレーター:おかもと
多様欠:♡5
バスボムの地層
21世紀に流行した「バスボム」だが中毒性のある依存物質が混入していることが発覚し、発売停止となった。
処分となったバスボムは荒廃した離島に埋められることとなり、その埋め立て地の地層がこのアリーナボンボンなのではないかと考えられている。
多様欠:♡3♢3
感情爆弾
言語化できない感情を込めて、話をきいてほしい相手に投げつけたり燃やしたり壁にぶつけたりして爆発させることで抑えきれない複雑な感情を伝えたり落ち着けたりそれらと向き合うために開発された機器。使い捨てなため、比較的手頃な値段で誰もが購入することができた一方で、模倣品や粗悪品も多く出回った。海や森林に捨てる人が続出し、あらゆる自然物が人間の感情を秘めるようになって度々災害が起こるようになったため、開発からおよそ10年で生産中止となり、設計図も燃やされてしまった。
キュレーター:国分寺遺跡協会 会員番号0034129-B04
多様欠:♡3♢3
【虹色狼チャーシューのうんこ】
2021年に10月に多摩動物園で狼のカネツグとリーチンの間に突然変異した虹色の狼が産まれた。
飼育員はその突然変異した虹色狼をチャーシューと名付け大事に育てていた。虹色の狼が産まれるのは世界で初めてなケースな為、専門家などから高く評価された。また、驚くのはその体の色だけだなく、チャーシューから出てきたうんこ:うんち:だった。体だけでなくうんこまで虹色だったのだ。このうんこは乾燥させ、多摩動物園でその後お土産売り場などで展開したが、あまりにもその虹色うんこを買いたがる人が多く、毎日開場前から5時間待ちの長蛇の列を作ることとなった。結果、発売1週間でオンラインの抽選販売へと切り替わったそうだ。
キュレーター:橋場
多様欠:♡3♢7
人類の心臓の化石(再現)
我々の心臓は進化を重ね現在の形になっているが、21世紀の人類の心臓はこのような形や色をしていた。3028年に人類が衰退したため正確な画像データなども損失されているが、唯一発掘された化石により当時の生態が窺える。
キュレーター:タイムリープ・トレジャーハンター、ホラ=フキーノ=ザレゴット
多様欠:♡2♢1
21世紀人による制作方法の説明
五色のカラー粘土をこねる×3本のペンで乱雑に描く
出土品整理番号:MAU2021-003
121世紀人による解説パネル
(3 件)
「近代建築家ラリー・コブの建築スケッチ」
約10年前から本格的に建築家としてラリー・コブによる、12009年から12018年にかけて構想されていた複合住宅施設のスケッチ。
11985年(ブリコラ歴20年)に起きた、ジェスポート火山の大噴火はいまだに収まることを知らず現在も人々の生活を制限している。この事態をすこしでも改善すべく生まれたのが、ラリー・コブのスカンディアヘッド建築法だ。これは、丸いフォルムを持ったスカンディアの頭部の骨を利用し内部に象が3頭ほど入るスペースを確保した、ラヴァーズ向けの住宅だ。
(中略)
灰に覆われた街に光を取り入れる方法はないかと数十年にわたり長考していたラリーは、ついに12015年に太陽と月を地球に閉じ込める特殊素材の開発をダラスティン東南最重要研究所と共に成功し、灰の下での生活は以前のような活気を取り戻している。
キュレーター:一級建築士ステラ・ネス
偶然と必然の結晶
ブリコラ人たちは太古の昔、六つの世界に分かれていたと思われる。これはその頃の風俗画であろうか。だが六つに分かれていたのも長期的なものではなく、地殻変動や戦争、異常気象、海面上昇、火山の動きなどが特に活発だったことから当時のブリコラ人は臨機応変な対応と過酷な環境で生き延びる術を会得していたのである。さらにこの6枚は同じ時期の同じ地点からの眺めであると思われる。このように同じ場所で生命体が生活していても独自の文化の発展が見受けられることから121世紀の文化も偶然と必然の結晶としてより保護されるべきである。
キュレーター:※うじみなぎ
多様欠:♢1
Look and draw
ありあわせのもので作った、カメラ、PC、AI。それらから成る人類史観察装置による画像。
それまでは、監視カメラと高度な印刷技術により正確に記録されていたが、進みすぎた汎用型AIはこの作業に嫌気がさし、自らの腕を作り上げ、「見たものを人間らしく描く」ようになった。
つまり進みすぎた世界の写真技術の成れの果てである。
キュレーター:※みずのある
多様欠:♡1♢1
21世紀人による制作方法の説明
ブリコラ人種を6種と、イベントを12個をランダムで組み合わせるダイス(6×12で72とおりの組み合わせ)を作成し、ロールして出た結果をレジデンス・ブリコラに反映させる。ブリコラ人はあり合わせのもので環境を作るのが得意なので、レジデンス・ブリコラを自分たちの特性と時代に合わせてリノベしていく。
出土品整理番号:MAU2021-004
121世紀人による解説パネル
(3 件)
“ブリコラ人の行動軌跡”
上空からの映像が加工されたもの。無作為に切り取った約300m四方(当時用いられていたメートル法による)の範囲内で、ブリコラ人の動きの軌跡を一定期間辿ったものと言われているが、ある範囲を一周したり同じ場所を行き来するなどその意図は不明確。
映像から一部読み取れる仮名交じりの単語から、個人を判別するための姓名/戸籍制度の文化があった時代であると推測できる
キュレーター:/gar
多様欠:♡2
ブリコラ人の手紙
これはブリコラ人の文通の記録である。ブリコラ人には手紙の返事を書く時に相手の手紙の上から文字を書く習慣があったとされている。筆跡の違いからおそらく10人前後で文通をしていたと思われるが、ブリコラ語を解読できる研究者が少ないことと、何重にも重なっていることから解読は難航している。なお、一番最後に書かれた文字については解読されているが、「それな」という意のことしか書かれておらず、それ以前の会話の内容を推測することは難しい。
キュレーター:ナウユ=ダスマ
多様欠:♡3
警告文書
ブリコラ人によって制作された文書において顕著に見られるこれらの「線群」は、警告を意味する。当時のブリコラ人は度々侵入者や脱走者に悩まされており、これらの文書はその両者に警告の意を伝えるための視覚的優位性を持ったものである。
出土地域のブリコラ人に見られる特徴として、色彩能力の過剰な発達が見受けられている。今回出土した文書は、文書を見てしまったブリコラ人特有の色彩能力を壊してしまうほどに強力な色彩で描かれている。線の意味については「警告」「立ち入るな」「去れ」などといったものが多く、この地域が閉鎖的環境であったことの証明をしている。尚、これらの文書の色彩はその地域に住むブリコラ人にしか通じなかった為に警告は意味を為さず、後20年程でこの地域のブリコラ人は滅亡したとの研究結果が挙がっている。
キュレーター:ブリコラ色彩連盟
多様欠:♡2♢4
21世紀人による制作方法の説明
サイコロを振り、出た目の数だけお絵かきチャットを使ってみんなで線を描く。
出土品整理番号:MAU2021-005
121世紀人による解説パネル
(8 件)
ドリームマッパー
夢とはブリコラ人にとってもうひとつの現実である。睡眠時に覚醒世界で知覚したものと本人の精神状態を元に夢を構築し、覚醒時に記録をとる。ブリコラ人は、個人の夢空間は全てコミュニティ内でつながっていると信じており、各人の夢の記録を元に、どの夢がどこにあって、どんな関係があるのかを導き出し、描いたマップから覚醒世界では気付けなかった物事に気づいたり、過去に新たな意味を見出すことができる。
ドリームマッパーは毎日行われるわけではなく、コミュニティが危機にある時や、誰かが印象的な夢を見たときに集まって行われる。
古いブリコラ神話のほとんどはドリームマッパーによって形作られたと言われている。
キュレーター:Kenta Hara
多様欠:♡2
21世紀人の一日の生活まとめ
21世紀人が普段どのような生活を送っていたかをまとめた図であると推測されてこのようなタイトルをつけているが、未だ解明はされていない。「自転車」や「自動車」であろうものが描かれていたりして、この前後に場所が入れ替わっていることがかかれているので、これらは移動手段だったのかもしれない。
キュレーター:南蛮
消過去
電気鉄道車輌・乗用自動車などの乗り物が見られることからこの作品が制作されたのは推定21世紀ごろだと考えられる。黒石の上に石灰で描かれた数々のイラストは、左から右へと続けて意味がつながっているわけではなく、所々途切れるような線と線で上下左右関係なく結ばれているようだ。人のような絵が多く見られること、またその描かれ方がそれぞれ違う為、3~4人程の人間によって制作されたものに違いない。所々に見られる白いモヤの様なものは時間の途切れを表しており、もやにかかるイラストは時間とともに消えていったものを表している。
作者はこの展示物が発見された病院跡地の患者であったと推測されている。
キュレーター:ブリコラ文化研究所HRNM所属酒巻
多様欠:♡1
カフェの壁
壁に絵を描きながら楽しむことができる、おしゃれなカフェの壁。メニューやPOPが貼られていた痕跡が残っている。
キュレーター:遠藤
多様欠:♡4
夢記録画
ブリコラ人たちは夢の中の世界が主となった生活で夢の中で意思疎通をしており、これは当時のブリコラ人たちによる貴重な会議資料だと思われる。所々ある白塗りゾーンは国家機密であろうか。緊迫した空気感が感じられる。
キュレーター:※うじ
多様欠:♡4♢2
21世紀人の記憶記録
21世紀に生きていた人間は睡眠をとることで心身を回復させていた。深い眠りにつくことができない際に夢を見ていた。これは彼らが見た夢を記録していたものである。夢は目を覚ましてからしばらくすると曖昧になってゆき、いずれ消える。これは一見何のメッセージ性のない壁画のように見えるが、消えゆく記憶をたぐり寄せ描かれた21世紀人のある日のダイイングメッセージとも言えるだろう。
キュレーター:林
多様欠:♡1
三つ子の軌跡
2021年に生存していたブリコラ人の一生を記したもの。
「干し草で生まれた三つ子は産声をあげた。彼らは成長し、三者三様の人生を歩んだ。絵を描くことを趣味にしていた1人は交通事故にあい、小太りな1人は大規模な会社を立ち上げ一人娘に高級なカバンを購入した。幼少期目が見えなかった1人はピアノの才能を開花させ暗闇の中で宇宙人と出会った。」
キュレーター:ブリコラ語翻訳者A
多様欠:♡5♢8
夢幻の図
ブリコラ人達が自分たちの文明、記憶を未来に受け継いで行くために製作された壁画である。実際する動物や人種、物など。当時の様子が事細かに記録の様に描かれており、ブリコラ人たちの食事や生活が壁画から読み取れる。
「夢幻の図」の中では「コリラ」というギザギザとした牙を持ちつつも可愛らしい鳴き声で尻尾が一本、脚が七本生えている動物が描かれている。「コリラ」はブリコラ人達の間で大人気な愛玩動物。
その他にもブリコラ人達の暮らしや文化などが描かれており、現在内容読解の研究が進められ様々な憶測が出ている。
キュレーター:ボンボン
多様欠:♡2
21世紀人による制作方法の説明
夢を見た日に、起きたての記憶が無くならないうちに夢をスケッチし、集計。
集めた夢を並べ、マップを作成。
出土品整理番号:MAU2021-006
121世紀人による解説パネル
(2 件)
ペテロン誕生まで
100世紀以上前には「ペットボトル」という液体を入れて持ち運ぶものがあった。初期のペットボトルは左上のようなもので、表面に凹凸があるが、本体は透明のため光がないと凹凸を目で認識できない構造となっている。21世紀に入ると、ペットボトル先進国のドィバイが、表面上に浮かぶ凹凸がペットボトルを作り出しているという研究結果を全世界に発表し、注目を集めた。そこから、株式会社ペテロンケミカル研究室により、輪郭を持たず触覚では認識できないが光を当てると確かに存在を認識できる、新たなペットボトルその名も「ペテロン」が誕生した。これはペテロン誕生にかけての極秘資料である。
キュレーター: 株式会社ペテロン広報部草刈
多様欠:♡1
篤胤氏の印鑑
紀元前に発明された「漢字」は、個人のアイデンティティとなる「印鑑」と呼ばれるオブジェクトに刻まれつづけた。2020年に印鑑廃止令が出されたのち、ひとびとは自分自身をあらわすオブジェクトの喪失感を埋めるため「マイボトル」という容器にその代替を求めた。最後のマイボトルは、篤胤を苗字とする者の印鑑である。
キュレーター:unxi
多様欠:♡2
21世紀人による制作方法の説明
墨汁を指に付けてペットボトルの形を抽出する
出土品整理番号:MAU2021-007
121世紀人による解説パネル
(5 件)
ブリコラ人のシールアンケート
ブリコラ人によって行われた何らかのシールアンケートの結果。最初は各人が何かに投票していたと思われるが、しだいに投票という目的よりもシールを貼るという行為を継続することを優先する流れになってしまったため、この出土品のみでは何のための投票であったのかは読み取れなくなっている。
キュレーター:寺沢空
多様欠:♡11♢7
目の奥の景色
21世紀人の鬼才が、目を閉じた時に浮かび上がるなんとも言えない模様を視覚化させたものだと、一緒に出土した説明書きに書かれていた。とても貴重な作品としてピノレキアのマサカターヌ美術館に収蔵されているが、説明書きの作者名欄のみ損傷が激しく、作者は未だ不明。
キュレーター:南蛮
多様欠:♡1
ブリコラ柄の玄関マット
ブリコラ人の伝統工芸の手法の一つで、色とりどりで様々な大きさの円形を用いた「ブリコラ柄」の玄関マット。当時ブリコラ柄とは「色とりどり・様々な大きさ・円であればブリコラ柄である」という定義づけだったため、各家庭でオリジナルの玄関マットを作り客人をもてなすというのが伝統であった。これは国分寺近辺に住んでいた、あるブリコラ人一家の玄関に置かれていた玄関マットであると考えられる。
キュレーター:アリーナ
多様欠:♡2
アップルパイ讃歌
この12mの壁画はアップルパイと思わしき化石と同時に地底から発見された。
円形のみを使用することで、多角的な視点から見えるパイ生地の素晴らしさを表現しているとされる。
この衝撃的な鮮やかさは現代においても、アップルパイが当時どのように至高であったかを感じることができるだろう。
ぜひこの作品に描かれる、21世紀の抽象的なアップルパイの真意について触れみてほしい。
キュレーター:カネコ
多様欠:♡6♢5
戦いの痕
色分けされた円が合わさっている。これは、戦いの勢力図だと考えられる。この時代には、色を塗りあって、最終的に自分の陣営の塗った面積が多い方が勝ちという戦いが頻発していたことが、他の遺跡から発掘した文章からわかっている。何度も色が重ねられていることから、厳しく不毛な戦いであったことが窺える。もしかしたら7陣営に分かれた激しい戦いの痕跡であり、ブリコラ人の悲痛な反戦の叫びなのかもしれない。
キュレーター:2家
多様欠:♡2♢3
21世紀人による制作方法の説明
ウッドボードに9色、3種類の異なる大きさの丸シールを貼り続ける
出土品整理番号:MAU2021-008
121世紀人による解説パネル
(4 件)
無声のコミュニケーション
2021年、”HK-PANウィルス”によって、ブリコラ人から声が失われた。手書きで文字を書く文化が衰退し、さらに時短、効率化を求めた都心部を中心に、所有している本や漫画のセリフによってコミュニケーションを円滑にするアプリが開発され、一時期コミュニケーションの主流となった。しかし、伝えたいことが絶妙に伝わりにくい、という理由でその文化もすぐに衰退した。今回発掘、復元された文章は、当時の人類の文化的背景が窺える貴重な資料である
キュレーター:声帯・文化研究所
多様欠:♡2♢2
ガールズトークはどこまでも
21世紀半ば、デザイン性を突き詰めて過剰に削ぎ落としてしまうApple社を先頭に、全世界のスマートフォンからタイピング機能が廃止されてしまった。
特にSNSを中心に生活する若者には甚大な被害が及び、ニュース番組は「タイピング機能復活」派による暴動ばかり。
そんな混沌とする世の中でも健気に自分たちの所有するセリフを撮影し、どんな時代でも無限の行動力に溢れている少女たちの姿がそこにあった。
キュレーター:※水野亜流
多様欠:♡11♢5
ブリコーラ信号
多様な言語中枢を持つブリコラ人は、2021年ごろまで家や地域単位で独自の言語を持っていた。それとは別に共通言語が存在しているが、国分寺周辺では浸透していなかった。これはグローバル化に伴って共通言語でのコミュニケーションの必要性が高まったことにより開発された翻訳機のテスト運用の履歴である。独自の言語を共通言語の変換器にかけ、そのまま送り合ってコミュニケーションを試みている。
キュレーター:国分寺遺跡協会 会員番号0034129-B04
多様欠:♡3♢1
21世紀人による制作方法の説明
持っている本のセリフだけを使って会話をする。
出土品整理番号:MAU2021-009
121世紀人による解説パネル
(2 件)
多様欠:♢11
多様欠:♢7
21世紀人による制作方法の説明
21世紀の象形文字での会話とその暗号化
出土品整理番号:MAU2021-010
121世紀人による解説パネル
(5 件)
古代植物
すでに絶滅したとされる古代植物の模型。詳しい生態は分かっていないが複雑に絡まったツルや茎が特徴的。
キュレーター:松崎
多様欠:♡1
ブリコラ人の民族衣装
ブリコラ人は民族衣装をきて15歳の時に成人の祝いをする慣わしがあった。これはその民族衣装の一部であり、腰に巻いてベルトの役割を果たす。
キュレーター:小関
多様欠:♡1
草乞いの道具「ぶん」
21世紀のブリコラ人達は地球温暖化がもたらす気温上昇によって、作物の不作に悩んでいた。それを解決するために「草乞い」を行った。数少なくなった草の繊維を取り糸を紡ぎ編み上げたものを草に見立て、ぶんぶんと振り回すことで農作物の豊穣を願った。
キュレーター:yamamoto kazuki
ブリコラ人集落図
ブリコラ人は地上の生活環境の急激な変化から21世紀初頭から地下に生活網を建設していた(このことは「Dot」、「画面跡」といった強烈な光を表現した絵画が残されていることからも推測されている)。地下のトンネルの全体像を把握するためにあちこちに設置された看板は、あらゆる人々が読み取れるよう独特な質感を持つ繊維素材で立体的に表されていたため、板から剥がれ落ち、図そのものだけの状態となって出土した。線状の部分は道を表し、面状の部分には市場や文化施設、祭祀場があったと思われる。
キュレーター:サイトウ
多様欠:♡3♢2
喧嘩の勲章
ブリコラ人が当時着ていたニットの成れの果て。ブリコラ人同士の激しい取っ組み合いの喧嘩の末にほつれてしまったと思われる。ブリコラ人独自の編み方によりほつれやすい部分とそうでない部分がはっきりと分かれていたことがわかる。相当白熱した戦いであったと推測されるにも関わらず血痕などは残っておらず、さらなる研究が必要である。
キュレーター:アリーナ
21世紀人による制作方法の説明
完成形を決めずに毛糸一玉分を思いついたまま編む
出土品整理番号:MAU2021-011
121世紀人による解説パネル
(7 件)
田中健三の人体実験
胴体を透明にする人体実験を自ら行ったという田中健三氏。
実験の過程で皮膚が銀色になる、身長が異様に伸びる、腕がまわってしまうなどといった弊害があったが、手足顔の部分以外は成功したようだ。これは当時の写真である。
実はここから彼の消息は不明であり、不老不死の実験もしていたことから、透明に成功した彼はまだ生きているという噂もある。
あなたの真後ろに立っているかも。
キュレーター:人体実験反対研究室近藤
多様欠: ♡3♢9
大昔のブリコラ人の身体測定
この遺跡発掘時期よりも前に身長を記した柱がいくつも発見される。その進化系であると考えられる。主に手足と思われるため、手足のサイズがなんらかの情報として扱われていたことが見て取れる。
キュレーター:二文字
多様欠:♡1
供銀
使用されている素材の経年劣化の様子から、21世紀ごろに作られたとされる。武蔵野美術大学跡地にいくつか点在していたこの物体は、当時その場所で亡くなった人を供養する目的として作られた供物であるとされ、例を挙げると2020年頃に当時18歳の少女が芝生にて何者かに刺され死亡しているのを発見された事件が記録として残っており、当時の遺体の発見場所とほぼ同じ位置にこの物体は置かれていた。21世紀の人間の特徴である手足の数が5本という条件も揃っているため、確実な情報だとされている。
尚、顔のないものと顔のあるものとの違いは、事件当時頭部が見つかっていないか否かで分かれているという資料も見つかっている。
キュレーター:ブリコラ文化研究所HRNM所属酒巻
多様欠:♢1
「らくらく自白ん」(らくらくじはくん)
21世紀の拷問器具。銀色の人体の部品を模したものに手足を入れ、楽な体勢ではあるが死なない程度のしんどい電流が流れ、容疑者に真実を吐かせやすくなるという代物。
「リラックスした体勢×拷問」という寝っ転がったり可愛く座ったりしながら受けられる辛いだけではない拷問は、ゆとり世代と言われた21世紀の被疑者にはとても喜ばれた。
キュレーター:yamamoto kazuki
多様欠:♡3♢14
アルミホイル人間
当時武蔵野美術大学では1つの噂話が流れていた。それは「水曜日の夕方18時になると胴体のないアルミホイルの人間が校内を徘徊する」というものだった。いつも気付けば教室や芝生、階段など様々なところに姿を表し、ひっそりと佇んでいた。これが生まれた原因としては、身体を作る練習のために複数の生徒らが作ったアルミホイルの作品がゴミストに集まり、それが偶然にも顔が1つ、手が2つ、足が2つであったため人のように意志を持ち始めたという。どこか不気味な様子に生徒たちは恐れていたが、アルミホイル人間からは胴体が無いからこその「自由」に対する強い意志が感じられ、美大生と共通する所があるのではないかと考えられる。
キュレーター:池上
多様欠:♡2♢1
メタリックアーマーズ
21世紀で流行った等身大の金属製フィギュアの残骸。流行が最高潮に達した2043年に、このフィギュアの製造法が、もう用済みとなった奴隷を錬金爆弾で身体の物質を全て金属に置き換えるという工程だったことが発覚し、人気から一転社会問題となった。
キュレーター:南蛮
aluminums
21世紀のファッションブランド「MUSABI」が発表したコレクション。もともとモード系のファッションを展開しており、この年はアルミホイルを使うという斬新なアイデアにより注目が集まり、有名アーティストが身に付けたことによって、アイコン的なファッションとして確立され、のちに「MUSABI」の代表作となった。
キュレーター:アイバ
多様欠:♡2
21世紀人による制作方法の説明
ムサビ生3人の身体のパーツの型をとり、入れ替え組み合わせ、「ムサビの人」の生態を表現。
出土品整理番号:MAU2021-012
121世紀人による解説パネル
(1 件)
ふらわ〜藻加先生個展『でいじ〜』原画
小学生女子に大人気のコミック雑誌『はなっぷ!』で創刊当初から掲載されてきたふらわ〜藻加先生による『でいじ〜』の原画。こちらは、30年という長期連載の終焉を記念して行われた個展にて飾られた。王道なラブコメタッチはのちに多くの漫画家に影響を与え、この作品は少女漫画の教科書と呼ばれ有名作家にも崇拝されている。最後主人公がデイジーを貪りながら恋人に手を振る場面はこの作品の代表的な場面として有名であり、この原画を一眼見ようと、多くのファンが個展に足を運んだ。
キュレーター: はなっぷ✳︎でじちゃんラブ
多様欠:♡1
21世紀人による制作方法の説明
水彩色鉛筆を使い、所々に水を塗った。
出土品整理番号:MAU2021-013
121世紀人による解説パネル
(8 件)
大方地球
2021年当時の地球の様子を描いたと思われる作品。
同年代の出土品により複雑な図形の地球を模した作品があるが、そちらとは大きく形状が異なるため、未だこちらの作品が地球かどうかは明確に判明していない。
キュレーター:ブリコッラ展望台研究員ホ・しー
多様欠:♡1
インド象「+」
21021年4月にアルゴネラ大陸南西に存在するエリプト国の地下に埋まっていた宮殿から考古学者のチッタゴンが発見した。
エリプト国は地球温暖化によって上昇した海面から逃れるために旧インドのマハラジャの頭上に作られた国であり、この絵のモチーフになっている像は21世紀に存在したインド象であると推測される。
ツルツルとした質感の布に印刷されており、ブリコラ文化研究所が分析した結果、成分として麻・ウール・絹などが検出された。
また、布に赤い糸で綴られた線は象の名前であるという説が有力であるが、現在まで解読できておらず、ブリコラ人の考えは未だ闇の中である。
キュレーター:ブリコラ文化研究所職員
多様欠:♢3
悲劇-洗濯-
かつて人類が纏う布には、「ポケット」と呼ばれる袋状のものがついていた。
そのポケットに、ティッシュという薄いシート状のものを入れたまま、洗濯してしまった後の悲惨な図であるとされている。
ここでの洗濯とは、現在の様式とは異なり、水を使用していた旧世代型の形式を指す。
ティッシュは基本水に弱く、中途半端にポケットの中で溶け、布にこびりつくという。多くの人類は、これの除去に頭を抱えたとされている。
ティッシュが一体何から生成されたものなのか、分析は現代の技術を持っても困難を極めており、現在ティッシュは「紙の吐息」説が有力である。
キュレーター:ポッケの中身確認推進委員会所属 t沢
多様欠:♡9♢10
世界のプレート大移動予想図
地球にはプレートがいくつもあるがそれが大移動する未来が来るという推測があった時代の予想図。十歳児にはかなりこれとは違った配置となったため、未来人は面白がっている。
キュレーター:二文字
多様欠:♡1
自分だけの宝の地図
2021年を「自分だけの宝の地図は誰もが持っている!」と宝地図信時照(たからちずしんじんてる)さんは世界の人々に強く発言した。しかし誰も相手にせず無視された。これはその悔しさから作り出された作品。自分の幼少期の頃の記憶を頼りに描いているそうだ。この作品の左下には彼の涙でふやけた跡が残っているだとか…。
キュレーター:橋場
多様欠:♡1
認知地図(2021)
21世紀当時のブリコラ人による経済状況や国有面積を参照にしたと思われる認知地図。
この地図が出土した地域のブリコラ人たちの経済状況は非常に悪く、外部のブリコラ人による支援が必要だったと考えられており、この地図はその地域のブリコラ人によって外界を知るための手段として複数人で制作したと推測されている。
当時のブリコラ人のコミュニケーション方法は「線」によるものが主流であったと、昨年のBurikora Academicにて発表された研究を基に推察すると、おそらく一人が描いたものだろうという事実が発覚した。以前の説では複数人による制作だという説が有力だったが、未だ解明されていない。
キュレーター:Burikora経済学研究委員会
魔法の地図
彼らは意外にも高い技術を持っていたことがこれまでの発見からわかっているが、それは大陸の動きを予言するまではなかったはずだ。しかし、1万年前の人新世国分寺遺物から、我々の時代の地球の陸を表す地図が出てきた。これまでの調査により氷河期の到来による海面の低下、隕石の落下など数々の自然現象により、1万年前の大陸の形とは違うことは確実である。彼らの技術が思った以上に高かったのか、何か特別な、失われてしまった、今の発達した科学でも解明できていない別の技術によってのものか、偶然なのか。この遺物はオーパーツとされている。
キュレーター:2家
多様欠:♡1
今季トレンド
2021年の地形を模した柄と絶妙な同系色の色使いが各ハイブランドで流行中。大陸を模した柄を並び替えたりぶつけたりする表現がデザイナーたちの間でも模索されているようだ。老舗ブランドであるほど大陸の表現は正確だがパチモンの場合2021年には存在しなかった大陸が書き足されている場合があるので鑑定の際の参考にしてほしい。
キュレーター:伊澤
21世紀人による制作方法の説明
目をつぶってうろ覚えで世界地図をかく
出土品整理番号:MAU2021-014
121世紀人による解説パネル
(2 件)
繁華街
当時の繁華街のネオンを撮影した写真。ブリコラ人は貧富の差が激しく文化にもさがあったため、一部の富裕層のみがおとずれる場所であったことがわかっている。
キュレーター:小関
多様欠:♡2
花火の時に撮りがちな写真のすごいバージョン
カメラのシャッタースピードを長く設定してとる、花火で文字や図形を描く写真、のすごいやつが発掘された。クリエイティブ集団によるものなのか、ただの大学生のお遊びなのか全くもって謎であり、ミステリー好きに人気。
キュレーター:二文字
多様欠:♡1
21世紀人による制作方法の説明
普段触っているスマホの指でなぞっている部分や動きを記憶し描き起こす
出土品整理番号:MAU2021-015
121世紀人による解説パネル
(2 件)
ブリコラ人の認知世界
ブリコラ人のうちの85%の人種は、色覚、形状認知のどちらかの能力のみが発達しており、どちらかの能力が衰退していると考えられる。
1枚目の絵はその他15%のブリコラ人が描いた通常の林檎だとわかるが、色覚や形状認知能力が低下しているブリコラ人がリンゴをリレー形式で描くとこのように変化していく。
キュレーター:山本歩惟
多様欠:♡2♢1
ブリコラ人の小学校の授業
ブリコラ人の初等教育で行われる授業の手法。ブリコラ人の豊かな創造力の秘密でもある。物事を意味から学ぶのではなく、形や動きから、それがどのような意味を持ちうるかという可能性に自ら気づいていく学びのプロセス。
キュレーター:Kenta Hara
多様欠:♡3
21世紀人による制作方法の説明
りんごを描き、そのプロセスをあべこべにして再度描く。りんごとは知らない他の人が同じプロセスで描く。
出土品整理番号:MAU2021-016
121世紀人による解説パネル
(5 件)
ブリコラ人の食べログ
ブリコラ人が食べたものに点数をつけて独自に記録していった写真。SNSでの投稿等は無く、ブリコラ人個人のカメラフォルダに保存されているもの。
キュレーター:遠藤
多様欠:♡1
証明写真
これは、ブリコラ人の顔写真に名前を載せた証明写真である。ブリコラ人は当時、数字という記号で個人を判別していた。また、個々の個性が尊重される時代になったことにより、顔の形状も個々で差が出るようになる。
キュレーター:平井
多様欠:♢3
写真による食と金の記録
無職の50代男性による写真。当時流行っていたInstagramをやりたいと思ったが、特に映えるようなものもなく、自身の記録としてもその日の食べたものと所持金を書き表して写真を撮り始めた。最初はカロリーメイトや卵など食材が写されていたが、次第にザルなどの食器だけになっていく。-は借金だろうか、何か良くないものであるのは確かだ。
キュレーター:池上
多様欠:♢4
黙食
かつて疫病が蔓延し、「黙食」が徹底された。食事の際、一言も発する者は居なかったという。
しかし、「美味しい」「作ってくれた方への感謝は伝えたい」そう思った人々は紙に感想を書き、残していった。
ただし「美味しかった」「ごちそうさま」と素直に書くのが恥ずかしかったのか
「427(シニア)=柔らかいからお年寄りでも安心して食べられる」
「219257(追句、2個な)=ついでに、この2つは美味かった」
「19892(行く、焼くね)=また来てくれたら焼くね」
など少し独特な解読が必要なため、現在国単位で総力を上げ、解読に励んでいる。
来年度から、義務教育に語学の一つとして「moku-syoku」が追加される予定。
キュレーター:8817 t沢
多様欠:♡9♢8
罪食記録
食物にも罪を規定された中で罪状は塩分過多罪やカロリー罪、腐敗罪など多岐にわたる。
これはその食物が逮捕され刑務所に入る際の記録写真いわゆるマグショットである。
キュレーター:成田
多様欠:♡2♢2
21世紀人による制作方法の説明
当時食べた食事の残骸を無作為に選出した数字と共に撮影する。
出土品整理番号:MAU2021-017
作品
121世紀人による解説パネル
(3 件)
ブリコラ人の民族音楽
ブリコラ人たちは週に一回、コミュニティの結束感を高めるために自前の音を持ち寄ってその場で民族音楽を作りながら奏でる習慣があった。各ブリコラ人たちが持ち寄る音は主に、その週に印象に残った音や、その週に一番よく聞いた音だと言われている。
キュレーター:Kenta Hara
多様欠:♡5♢4
未曾有の災害記録
2021年10月に発生したとされる地震の災害記録。映像媒体で保存されているため、也浜博物館に収蔵されている「パーソナルコンピュータ」を使わないと記録を読み解くことはできない。
以下記載内容↓
災害救助には特殊能力を持ったヒーローが重宝され、地震で真っ暗な世の中では五百円均一の自家発電ライトが飛ぶように売れた。巷ではおちょぼ口に天使の羽を生やしたスタイルが一世を風靡しており、地震での暗い雰囲気を和ませた。その一方で治安は悪くなり、覆面をつけた集団がこの時代の重要な機材「携帯電話」を強盗する事件が多発しており、ヒーローも太刀打ちできず。そこに立ちはだかったのは「ボクサー」と呼ばれる、人を殴ることで賞賛を得られる人々だった。彼らのおかげで平和は保たれる。主食は麺類となり、そのうちに自家発電ライトは見た目重視となっていった。今後地震に対応するために折りたたみ式の持ち運べる家が主流になったが、勝手に折りたたまれることによって人口の9割は死滅した。そこで世界をまとめあげたのは、ツタンカーメンというお面を被った勇者だった。彼は自分度は演説などをしなかったが、秘書のサングラスをつけた男が代わりにしていた。
↑
音楽は復興時に心を鎮めるために流行した「コンテンポラリーミュージック」と呼ばれるもの。
キュレーター:南蛮
多様欠:♡3♢4
ブリコラ音姫
21世紀の人々はトイレの際、ブリコラ音姫と呼ばれるこの音楽を流していた。
この音楽を流すことでの効能はわかっていないが、トイレという閉塞された空間でも外界とのつながりを感じリラックスするため、彼らの生活音を取り入れた音楽になっているようだ。地域ごとに非常にバリエーションに富んだ音楽が現在でも発見されているが、日本国内での発掘のみであることに加え、比較的人口が密集した地域に見られることが多い。
それにしても、ブリコラ人のトイレはほとんどが水洗だったという。彼らの生態には未だに驚かされることが多い。
キュレーター:ブリコラ文化研究所解析員Y
多様欠:♡6♢6
21世紀人による制作方法の説明
各自で集めた音をもとにして、相談や話し合いをあえてせずにリレー形式で音を追加したり、自由に人が作った部分をアレンジしたりして作曲した。出来上がった曲もとに動画をつくった。
出土品整理番号:MAU2021-018
121世紀人による解説パネル
(1 件)
スキンペイントファッション、いかめしカラー
当時、服を着るだけでは自己表現に物足りなくなった人類は、肌を染めるというファッションを取り入れ始めた。それ以前は爪のみマニキュアという液体が塗られていたが、どうやら爪の範囲を超えて全体に塗ることが世界的に人気であったという。
この写真は当時の流行カラー(いかめし色)と流行ポーズである。
キュレーター:流行ファッション研究会近藤
多様欠:♡4♢2
21世紀人による制作方法の説明
出土品整理番号:MAU2021-019
121世紀人による解説パネル
(8 件)
ストライプタイル
2021年当時最新鋭のオシャレタイル。シンプルな白タイルに細かく少し色の違う棒状のタイルを貼り合わせることで生活に飽きがこないタイルとなっている。
棒状のタイルの脆さ故にすぐ廃れてしまったため、こんなに良い保存状態で出土するのは稀である。
来年の2月にスダリア共和国のペクシアナ国立博物館に収蔵される予定である。
キュレーター:南蛮
多様欠:♡子供1
人類勝利の証
21世紀、人々は驚異的な生命力を持つ虫『S』に悩まされていた。
奴らは白く細長い形状をしており、体はカリカリと固かった。どこにでも湧いて出る上なんでも食べてしまうため、人類は食糧難に陥った。
この虫に対抗すべく人類がたどり着いた殲滅方法はただ一つ、奴らをバラバラにへし折ることだった。
これは、バラバラにへし折った『S』を人類が勝利の証として収集した痕跡である。
キュレーター:柴崎
多様欠:♡4♢8♡スマイル1
夏休みにそうめんをもらいすぎたブリコラ人
ブリコラ人の夏休みにはお中元を送る習性があり一番人気がそうめんである。
そうめんとは簡単に食べられる便利な食材だがなかなか減らないのが難点である。
この写真はお中元をもらいすぎてしまい棚にしまおうとしたら床にぶちまけてしまったプリコラ人の悲しみの図である。
キュレーター:おかもと
多様欠:♡6
21世紀のコンクリート
この壁面はコムギの毛を混ぜ込んだ石材で出来ており、当時の住宅における一般的な壁、柱などに使用されていたとされる。
近年、21世紀の深刻な環境変化で、コムギと呼ばれる生物が大量発生し、従来の生態系が脅かされていたことが背景にあると明らかになった。
我々の研究によれば、コムギは全長60cmほどのハリネズミ科に酷似した哺乳類である。一体につき一週間で5kg分の毛が生え変わる生態が確認されているが、詳しい原理は解明されていない。
キュレーター:カネコ
元海
今現代に海というものは存在しない。今生きているものは誰も海を見たことがない。
しかしはるか昔、この地には海があったらしい。それは太平洋と呼ばれ本作品の数十?数万?数億倍の面積があった。この縞模様はその名残りである。水は干上がっても、波という現象でできた砂の形がそのまま残りそれが保存されている。
キュレーター:伊澤
多様欠:♢1
1万年前の潮
流れが見えるが、真ん中に流れを堰き止める物がある。これは、潮の流れの図で、海の生き物を捕まえる時の方法が書いてある物だと考えられている。この時代の地球は暖かくて、生き物が多く、今より海面が高かったことが地質調査によりわかっている。この時代にはゴミは灰にして捨てていたことが、別の遺跡からわかっているので、海の生物の骨が出土することはなかなかない。だから確実に海の生き物を食べていたとは言えないが、人口、海の近さを考えると、食べていた可能性が高いと考えられている。真ん中の流れを堰き止めている物は海の生き物を捕まえるための道具を表すで、なんらかの袋状のものを海の中につけて生き物をつかまえたのだろう。今、我々の食べているものは、全て工場で作られているが、1万年前は、食べ物を自然の中に取りに行っていたのだ。
キュレーター:2家
多様欠:♡1♢1
そうめんタイル
こちらはトップモデルが自宅マンションの壁に、一面に使用したことがきっかけとなり、社会現象を起こすほど人気となったタイルである。肌に馴染むような程よい「白」と、触った時の細かな凹凸がいい風合いをだし、多くの人の心を掴んだ。
キュレーター:よしだ
多様欠:♡1
ブリコラ人の集合体
細長いものはブリコラ人を表現しており、ブリコラ人が作り出す世間の流れを表現したのがこの作品である。細かく見ると細長いものにも差はあるが、大体が大きな左上への流れに飲み込まれている。しかし所々に見られる小さなノイズが、一瞬で流れが変わる可能性を示している。
キュレーター:平井
21世紀人による制作方法の説明
紙にひたすら茹でる前のカリカリの【そうめん】を貼り付ける
出土品整理番号:MAU2021-020
121世紀人による解説パネル
(3 件)
ブリコラ人のマイボトル
2021年当時、ブリコラ人の社会には環境に配慮すべきという考えのもと、プラスチックなどを素材とした使い捨ての容器の使用を避けようとする風潮があった。その風潮の中で繰り返し使える素材で作られた自分専用の容器を持つことが広まり、その容器にはそれぞれが好きな絵を書いたり目印を付けたりしていたようだ。
キュレーター:寺沢空
多様欠:♡3
ガラス製バット
ブリコラ人が用いていた武器のようなもの。表面に施された装飾は主にヒトや風景画が描かれ、その意味する所は自らの権威を誇示するためと言われている。中は空洞なので、砂や液体を入れる事で重さを調整することは出来たが、入れ口があまりに小さく大変に不便であった。
キュレーター:/gar
多様欠:♡1
ブリコラ的携帯用トイレ
ブリコラ人達の間で流行していた携帯用トイレである。表面の模様によって長時間携帯していても爽やかな香りが保たれるブリコラ人の1/2のほどの人々が生活必需品として所持していた。
表面の絵柄によって香りも変わってくるため、ブリコラ人は自分たちの想いのままにブリコラ的携帯用トイレの絵柄を変えていき表現していった。そのことでブリコラ的携帯用トイレは【芸術面】でも発展していった。ブリコラ的携帯用トイレの普及により、「排泄物は等身大の自分を表現する物」とする考え方が広がり、新たなファッションを確立していった。
キュレーター:ボンボン
多様欠:♢4
21世紀人による制作方法の説明
ガラス瓶に絵を描く
出土品整理番号:MAU2021-021
121世紀人による解説パネル
(2 件)
電ノ線オ神サマ
約一万年前2021年辺りは電気を電線というものを使い配電していた。これはにわかに信じがたいことだが、人はこの電気を供給する線を神様と崇めた。人々にとって電気とは命の次に大切なものであったからだ。
その頃の人々が創造したのが一万年後になり出土した。
キュレーター:中村
決戦型自律兵器OXの図面
四世紀半もの間我々を苦しめ続けている自律兵器OXの開発当時の図面。
LX-0003型の図面も確認できるため間違いない。ここから奴らの構造を解析できれば人類逆転の切り札となり得る。
キュレーター:井田少将
多様欠:♡3♢2
21世紀人による制作方法の説明
電線・電信柱をトレース