古本屋のある坂を下ると、草もない空き地のそこここに子供たちが集い、カナブンを集めている。昆虫は煙のように舞い上がり、空中交尾のたびにワニぐちのゴキブリなどに進化する。子供たちは昆虫の発する化学物質を記録していて、夕暮の広場でパワポのプレゼンをしては、歓声をあげている。
(2009年12月30日)
古本屋のある坂を下ると、草もない空き地のそこここに子供たちが集い、カナブンを集めている。昆虫は煙のように舞い上がり、空中交尾のたびにワニぐちのゴキブリなどに進化する。子供たちは昆虫の発する化学物質を記録していて、夕暮の広場でパワポのプレゼンをしては、歓声をあげている。
臍から性器に向かう細い道がある。その道が枝分かれする腹部を撫でながら、僕と女は進化樹の撹乱について、腹の上の図をたよりに議論している。
昨日は三角フラスコのような白くて小さいブラウン管が飛んでいた。なぜ無生物が飛翔するのだろう。今日は、カプセル錠剤ほどの小さいものが、部屋の中を飛び回っている。昆虫をつかまえる要領で掌に捉えると、それは乳白色の細長い豆電球で、簡単に割れ散ってしまう。
女は短すぎるスカートから裸の尻をむき出しにして、温泉のある建物に向かって歩いていく。背後から見ている僕には、尻の間から覗く一筋の線と、際どい肌の余白に彫られたfig.という文字が見える。たまたま玄関に居合わせた男が勃起を隠そうとするので、彼女の前の線も見えていることがわかる。ちょっとスカートを下にずらしたほうがいい、と温泉に消えていく彼女の背中に向かって何度も声を投げかけるが、伝わらない。