アリ塚のような団地は、外は晴れていても中は雨が降り続いている。無計画に増築してしまったので、塞ぎようのない亀裂から入りこんだ水が建物のあちこちに溜まっている。液状化した泥のベッドに浸かっている女が、こうしていると自然分娩できると言って、泥水の中でスカートのようにひらいた膣を水母のようにふわふわさせると、ふわふわごとに赤ん坊の卵が下におりてくる。
(2013年11月30日)
アリ塚のような団地は、外は晴れていても中は雨が降り続いている。無計画に増築してしまったので、塞ぎようのない亀裂から入りこんだ水が建物のあちこちに溜まっている。液状化した泥のベッドに浸かっている女が、こうしていると自然分娩できると言って、泥水の中でスカートのようにひらいた膣を水母のようにふわふわさせると、ふわふわごとに赤ん坊の卵が下におりてくる。
押すように雨の降る安達太良山中で、竹の姿をした二頭の牛を導き、いっきに駆け下りようとする途中、一頭は脱落して見失い、もう一頭は急な段差に怖気づき固まってしまう。もう先頭を争うこともないから、と優しく肩を貸してやると、竹は肩に足をかけて奮い立ち、阿武隈川を目指して駆け下りていった。
積雪で通れなくなった川越街道の雪が、氷河のようにゆっくり動いている。ここは快晴だが、上流の大雨で決壊した石神井川の水が氷の下部に流れこんでいるためです、と、駆けつけたそらのちゃんが淡々とustream中継している。
東北本線のとある駅にたどり着くと、「打ち合わせのため」という理由で乗客全員が寂しいホームに降ろされる。小雨が降っているうえ、ホームは灰色のプールの中にあり、心の底までうすら寒い。バスに乗りかえ、石切り場の跡地らしき観光地へ到着する。あたり一面に広がる岩の削り跡が、意図せず描かれた壁画の群れになっていて、それを一つ残らず撮影したいと思うのだが、ぞろぞろと目の前を埋めるおばさんがたの頭がじゃまで、なかなか良いショットが撮れない。