rhizome: 石切り場

白砂ケーキ

崖を見上げると、斜面の岩を切り出した巨大な時計が見える。時計の側面には、子供のころ寝床から見上げた真鍮製の置時計と同じレリーフが彫ってある。あの丘の上の店を目指して歩いていけばいいのだ。店にはNTTの大和田さんがすでに到着している。テーブルには、シフォンケーキ型で抜かれた濡れた白砂がきっちり形をとどめている。ソフトバンクの犬のCMの演劇性について語りあいながら、白い砂を少しずつ掻き出す。こんな無駄な砂を入れていたからいつも鞄が重たかったのだ、と大和田さんが言う。

(2013年2月25日その1)

プールから石切り場へ

東北本線のとある駅にたどり着くと、「打ち合わせのため」という理由で乗客全員が寂しいホームに降ろされる。小雨が降っているうえ、ホームは灰色のプールの中にあり、心の底までうすら寒い。バスに乗りかえ、石切り場の跡地らしき観光地へ到着する。あたり一面に広がる岩の削り跡が、意図せず描かれた壁画の群れになっていて、それを一つ残らず撮影したいと思うのだが、ぞろぞろと目の前を埋めるおばさんがたの頭がじゃまで、なかなか良いショットが撮れない。

(2006年9月19日)