牛落とし

押すように雨の降る安達太良山中で、竹の姿をした二頭の牛を導き、いっきに駆け下りようとする途中、一頭は脱落して見失い、もう一頭は急な段差に怖気づき固まってしまう。もう先頭を争うこともないから、と優しく肩を貸してやると、竹は肩に足をかけて奮い立ち、阿武隈川を目指して駆け下りていった。

(2013年9月5日)