rhizome: web

砂のゲレンデ

一面砂の斜面は、一度降り始めたら止まらないほど急峻なゲレンデで、先に降りてしまった相方がどこにいるのかもわからず、怖気づいて滑り出すことができない。しかも、スタートラインより前は広告ページになっていて、どのページまでが広告なのかは、見る人によって判断が異なる。また「しまぶくろの理論」と称する解説ページも挿入されていて、斜面を滑るときの意識の集中ゾーンがおでこのあたりにあることが示されている。ページをさかのぼって屋上には、白いコンクリートにローラーを転がして、亀裂に雑草を植えている男がいる。

(2008年7月28日)

夢中対話

久しぶりに、寺門孝之さんのアトリエに遊びに来ている。僕はノートにメモをとりながら、彼と話している。この会話の内容は、あとでインターネットにのせなければならないと思っている。彼は、自分の中にはもう他人がいないと言う。数年前に、自分の作風なんてたくさんの他人が流れ込んできたものだ、っていう話をしたはずじゃなかったか?と僕。彼は、ここ数年篭って絵を描き続けてきたので、自分の絵はもうすっかり自分だけになってしまった、と言う。

(1997年3月25日)

HTML

自分の講演が始まろうとしているのに、何も準備がない。しかし、僕は他のことに気をとられている。今演台で話をしている有馬氏が手元のコンピュータから僕のホームページをアクセスして、聴衆の凝視する大画面に出そうとしている。僕はその前に自分のページにアクセスして、「有馬め!」というでかい文字を挿入しようと思い付いてしまったのだ。画面いっぱいに文字を出すにはhtmlをどう書くべきか考えているうちに、彼の話はどんどん先に進むし、自分の番もまわってきそうだし、焦る。

(1996年11月27日)