1994/4/16 Rieko   とびきりステキな夢みた


ぬかるんだ校庭を通り過ぎて、傍らに草の生えた道を歩いている。
わたしは左足にをはいてない。どこかで買わないと。

ひょいと左方向に目をむけると、なだらかに蛇行した地形にはりついて 赤い建物の群れがある。

「なんてステキな建物の群れ!」

町に入っていく。見えかくれする路地は、中庭のような親しさをもっていて、 人々は見えかくれしながら、歩いていたり、休息していたり、そして不思議な 外国語を話している。

突き当たりのレストランに入り「ここは何時までやってるか?」と、わたしは 強引な何語かで訊ねる。「…………じゃ後で連れと来るから」

カタコトの日本語をしゃべる若い女性が現れて、近辺を案内しはじめる。 アラブ世界とスペインの狭間のような雰囲気。

わたしは、はだしの左足に、安くてステキな靴がほしい。 店を教えてほしいと思ってる。

彼女の案内してくれる路地は、まるで16世紀のフランドルの色彩で、 深いグリーン、漆喰の赤、黄色。 そして雨に濡れたような、甘く淀んだ空気。 なつかしい風景。

ふと視界が開けて、川が流れている。青くて、緑で、深い色彩を漂わせて静かに ゆっくり流れてるらしい。わたしは、高台の赤い建物の群れから飛び出した バルコニーから、それを眺めている。

案内の若い女性は、バルコニーに背をもたれて、何事か話している。
わたしは、彼女のはめこまれた風景を見ている。
わたしは、対岸にあるホテルを指さして「連れと一緒にあとからきたい」と
さかんにいってる。
不思議な不思議な、まるでカタツムリがはっていけそうな蛇行した街。
赤い赤い建物の群。

x                           りえこ


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