青山一帯が更地になっている。こどものくにの恐竜が何匹か、更地の縁に張り付いている。8階の店の窓から見ると恐竜は虫ほどの大きさで、青虫が葉を喰い拡げていくように見える。上空から見る津波は偽物だから、早く地面に降りて写真を撮ったほうがいい、と女店主に促される。
(2016年10月26日)
青山一帯が更地になっている。こどものくにの恐竜が何匹か、更地の縁に張り付いている。8階の店の窓から見ると恐竜は虫ほどの大きさで、青虫が葉を喰い拡げていくように見える。上空から見る津波は偽物だから、早く地面に降りて写真を撮ったほうがいい、と女店主に促される。
寺尾さんが金属製の蛾を捕まえてきて、日本軍はこうやってゆっくりと気づかないうちに戦争を容認させるのですよ、と言う。8階のバルコニーに出てみると、白いステルス機がひらひらと舞っている。向かいの棟の壁面にとまると、大きな三角形のステルス機はひたと動かなくなる。
8階の部屋でインタビューを受けている。カメラは向かいの建物に三脚を立て、望遠でこの部屋を狙っている。僕は、窓際に立つインタビュアーのイタオに「人間は視覚的に未来を見るが、猫は未来を見るために手を動かす」と話している。
8階に猫はいない。真上の9階には猫がいる。それを一発で撮るためにカメラを外に設置したのだ、とイタオが言う。
僕は8階にあるロボットの下半身を、どうにかしないといけない。9階に上半身があることを、僕はカメラの映像を見て初めて知った。下半身が動き出す前になんとか始末をつけないと、このロボットは自分の手を探し出してしまう。