西池袋の急な坂を登りつめたところにあるレストランで会食をしている。向こうのテーブルにあった牛蒡のウナギ巻きを食べ損ねたので、もう一度注文しようとすると、サイモン・ラトルの髪をした稲垣さんが入ってくる。僕が彼を紹介しはじめると、別の友人が別の紹介を始め、かみ合わない。稲垣さん本人が黒板にところどころ空欄になった文章を書き始め、空欄のまま成り立つ文なのだと言う。
(2017年4月30日)
西池袋の急な坂を登りつめたところにあるレストランで会食をしている。向こうのテーブルにあった牛蒡のウナギ巻きを食べ損ねたので、もう一度注文しようとすると、サイモン・ラトルの髪をした稲垣さんが入ってくる。僕が彼を紹介しはじめると、別の友人が別の紹介を始め、かみ合わない。稲垣さん本人が黒板にところどころ空欄になった文章を書き始め、空欄のまま成り立つ文なのだと言う。
東洋大学の学食はシステムが複雑すぎる。トレイに料理を載せ、お金を払うまでに何度も躓いてしまう。馴れている稲垣さんはとっくに食事を済ませ、休憩所で昼寝をしている。頭上を日立製作所の試験線路が走るベンチに陣取り、食事を始めると、ロケットエンジンで走る試作車両が豪速で走り抜け、そのたびに液体燃料タンクに付着した氷が解けて昼食トレイの上に冷たい水滴を落としていく。