rhizome: 学校

屋根裏展示場

土曜日の短い授業を終え、小学校の階段を上がっていくと、上の階に行くほど階の面積は狭くなり、最上階は小さい屋根裏部屋になる。藤田という女性が、そこで展示の準備をしている。藤田さんは昔P3で会ったと言うが、まったく覚えがない。和紙の一片に好きな模様を描き人形に貼ってほしい。そうやって多くの人が作くっていく作品なのです、と言う。屋根裏部屋へは階段で来たはずなのに、降りる階段はなく、穴から階下に飛び降りるしかないようだ。紙辺に無数の十の文字を書き、人形のうなじに貼る。

(2015年2月26日)

不意の舞台

公園の傍らの小高い丘の上で、われわれは待ち合わせている。しかし、隠れなければならない。丘の上に洞穴があり、そこに寝そべっている。穴のなかから見ると、出口はほんの数十センチメートルの横に伸びたスリットで、そこから出られるのか、そこから発見してもらえるのか、不安になっている。
棟をならべた向かいの校舎に、火が見える。火事だと思ってみんな騒ぎはじめるが、それは巧妙に作られた舞台の大道具で、風を含んで波打っている巨大な布と、投影機のようなもので作られていることが判明する。これはすばらしい、と言って拍手を送る。
舞台稽古が始まる。僕は主役の王様であるのに、まったく練習をしていない。そんなに台詞は多くないから大丈夫だろう。
舞台に立っている。咳払いをして、狂言風に「誰かある」「侍従はおらぬか。台本をもて」「タコクジラ、ブタゴリラはおらぬか」
うまくいったようだ。これで台本を持つ口実ができた。召し使いが台本をもってくる。あとはこれを読めばいい。
しかし、台本には細かい字で、ぎっちり台詞が書いてある。意味がわからない。つっかかって読めない。マイクロソフトなんていう単語も入っている。ここ、もう一回やらせてください。焦る。稽古を見ている観客のどよめきが聞こえる。

(1996年6月21日)

学校の鍵

みいちゃんは彼女の母親が死にそうなので病院に行き、帰ってきたところだ。死にそうなのに親戚がたくさん沸いてきて、母親の耳元でうるさいのだと言う。
僕は今日から新学期で、誰に会えるか楽しみにしている。どの服を着て学校に行こうか迷ったり、学校の鍵を探したり、そうこうしているうちにどんどん時間がたって始業時間をすぎてしまう。青いベストを探しているのだが、どうしても見つからない。母親が、それを裏返して物干しに干していて、これじゃ見つからないわけだ、と僕は怒っている。

(1996年2月24日その1)