rhizome: 生命

バイオアート

久保田晃弘さんの講義に遅刻して潜入し、空いている最前列の長机に座ると、いきなりビーカーに入ったオタマジャクシ状の塊を渡され、コンピューター内の変換表によって蛙にする方法を考えろ、という課題を出される。隣に座った二人の女子はリス語で相談を始めたので、それを真似て会話に混じろうとすると、豚肉を食べてる人はどうしても発音が濁る、と言われる。

(2013年9月18日)

悪いマイクロロボット

閉鎖カプセルの中には、ゴキブリのような昆虫や、それを捕食する爬虫類などが入れられていて、「閉じた生態系モデル」にはなっているものの、殺伐としていて中を覗き込む気持にならない。会ったばかりなのに恋人のように人なつこい女が、僕がすでに恋人がいることを、会ったばかりなのに責めたて、その理不尽さと手元のカプセルにいらつきながら、このおぞましいカプセルを階段の下や下駄箱の上など、なるべく誰も気づかないところに隠さねばと思っているのだが、なかなか決断できない。
ふと自分の親指の付け根に、白くぽつぽつと芥子粒のようなできものが密集しているのを発見して寒気がする。ルーペで拡大すると、それぞれがメタルキャンのトランジスタ素子のように足を出し、それを皮膚に食い込ませている。この巧妙なマイクロロボットをひとつひとつピンセットで取り出したいのだが、しかし下手にいじると無数のロボットが拡散して体中に回ってしまうかもしれない。ここで焦ってはいけない、と自分に言い聞かせる。

(2003年1月16日)