デパートの最上階にある高級テナントにしては、この中華料理屋は怪しすぎる。中村理恵子はオーナーらしき男におすすめの料理を尋ねながら、彼の歯を覗きこむと、歯茎までめくりあげたオーナーの前歯に鼻腔のような穴が二つあいていて、ここから息ができるのだと言う。中村が「あんたは埋めても死なないね」と言う。
(2013年12月17日その2)
デパートの最上階にある高級テナントにしては、この中華料理屋は怪しすぎる。中村理恵子はオーナーらしき男におすすめの料理を尋ねながら、彼の歯を覗きこむと、歯茎までめくりあげたオーナーの前歯に鼻腔のような穴が二つあいていて、ここから息ができるのだと言う。中村が「あんたは埋めても死なないね」と言う。
小鳥と話ができるようになった。鳥の記憶モデルを知ったためだ。小鳥は、冷たいくちばしを僕の下唇に押し付けながら、興味深げに顔を傾げ、歯が段々になっていると言う。きみもいつかこういう歯が生える、と小鳥に言うと、それは気休めだと言う。家に帰ると、鳥は一目散に水槽へ向かい水浴びをするが、勢い余って水槽の外にはみ出してしまう仕草が愛おしい。その光景を見ている家族が、お前は鳥と仲良くしているときは気づかないだろうが、人と話をするときは顔についた白い軟膏のようなものを洗いなさい、と言う。近所の葬式に行くため礼服に着替えていると、どんなに立派なことを言っても、立派な喪章をつけていかないと意味がない、と言われる。
飛行機が雲を抜けると、雲海の境界面に沿って銀色のタンクが歯茎に浮く歯の配列規則で点在している。十分な水圧を得るためには、給水タンクをここまで高く上げる必要がある。地上の蛇口からは、液体水素が出てくる。白いポリタンクでそれを受ける場合、冷えすぎたポリタンクはガラスのように脆くなっているので、割れないように十分注意する必要がある。