小鳥と暮らす

小鳥と話ができるようになった。鳥の記憶モデルを知ったためだ。小鳥は、冷たいくちばしを僕の下唇に押し付けながら、興味深げに顔を傾げ、歯が段々になっていると言う。きみもいつかこういう歯が生える、と小鳥に言うと、それは気休めだと言う。家に帰ると、鳥は一目散に水槽へ向かい水浴びをするが、勢い余って水槽の外にはみ出してしまう仕草が愛おしい。その光景を見ている家族が、お前は鳥と仲良くしているときは気づかないだろうが、人と話をするときは顔についた白い軟膏のようなものを洗いなさい、と言う。近所の葬式に行くため礼服に着替えていると、どんなに立派なことを言っても、立派な喪章をつけていかないと意味がない、と言われる。

(2013年11月12日)