rhizome: 中山真樹

氷型

われわれのバンドはメンバーが三名で、ひとりはLArcEnCielのボーカル、もうひとりは図体のでかい中山真樹らしき男、そして僕。次のイベントにむけて等身大の裸体像を作ることになり、これから型を抜く。中山真樹がまず矢面に立ち、全身氷で覆われる。それほど寒くはないが、氷と皮膚をいっきに剥がす時ぴりぴりと痛み、全身赤い網目模様になるのがつらい、と訴える。僕はバンドの真中なので、順番としては次だ。覚悟を決めているにもかかわらず、用意した氷があとわずかなので、早速製氷するか氷屋から買ってこなくてはならないということで執行猶予になる。小林龍生さんから、特に用事はないが近況を知りたくて、と電話がかかってくる。実はかれこれこういうわけで自分の型を抜くところだ。それは、自己のイメージを客体化する良いチャンスだ、とかなんとか話しながら、さてどういうポーズで型を抜くか思案をめぐらしている。座って両腕を両腿に挟もうか、思いきり立ちあがって股間を手で隠そうか、などなど。

(1999年5月31日)