久米姉妹の両親の家にマッチを借りにきた。いつでも勝手に入って持っていけばいいと言われている。久米両親の寝室の四方を取り囲む襖がちゃんと閉まっていない。ちょっとあんた閉めていきなさいよと言われ、位置を調整するがなかなか隙間が解消しない。この家にある特別なマッチを擦ると、火が現象なのか実在なのかがわかる。
(2018年2月25日)
久米姉妹の両親の家にマッチを借りにきた。いつでも勝手に入って持っていけばいいと言われている。久米両親の寝室の四方を取り囲む襖がちゃんと閉まっていない。ちょっとあんた閉めていきなさいよと言われ、位置を調整するがなかなか隙間が解消しない。この家にある特別なマッチを擦ると、火が現象なのか実在なのかがわかる。
畳半畳の四方が襖になった縦長の箱部屋に、男の編集者が華麗なドレスをまとって控えている。いっせいに襖が開いて取り囲んだ本物の女子たちと対面すると、彼は編集者の口調で女子たちにダメ出しをはじめるが、いやその編集者根性がダメなんだ、とダメの返り打ちを浴びる。
久しぶりに訪れた実家の外壁が、白い総タイル張りになっている。強いスポット照明のあたる一枚だけ、人間の口と鼻のレリーフになっている。ぽっかり開いた口の中から外に向かって、強い筆勢で黄色い釉薬が塗ってあり、なかなかすばらしいタイルを見つけたものだと感心していると、コートを着た背の高い女が玄関の前に立っていて、いきなり接吻してくるその女の口も同じ黄色に染まっている。
実家に入ると、襖の向こうの明るい部屋で、従姉の婚約者が大仰に話をしているのが垣間見える。小便をしたくなって便所の戸を開けると、そこに便器はなく、母親が溜め込んだ紙の手提げ袋がぎっちり詰めこまれている。トイレはこっちに移ったのよ、と開けられた襖の小部屋は、四方の襖がどれも完全に重なりきらないので、相変わらず大仰な男の背中やテレビの画面が見える。落ち着かないまま部屋の真中の便器に小便を始めようとするのだが、半分勃起したペニスはなかなか小便を開始できない。