rhizome: 基礎デ

自律岩絵具

基礎デザイン研究室でコーヒーを飲んでいると、Hが面白い画材を見つけたと言う。ふたつの色を塗り分ける境目に幽玄な風景が勝手に現れる岩絵具で、旧街道の日本画画材店が開発しているらしい。顔料の粒子がそれぞれアトラクタになって陣地を競っている、というのが僕の仮説。Hは網タイツを重ね着して、タイツの隙間に何人か別の人が嵌りこむエロいワークショップをやっている。幽玄な景色を見に行こうと、小皿を掌に載せてアーケードの商店街を歩くと、皿のなかで緑の果汁と黄色いマンゴーが反応して芳香を放ちはじめる。

(2018年1月15日)

針金文字のペン

基礎デの寄せ書き的なプレートに、銀色インクのペンでメッセージを書く。すでに書かれた絵や文字の余白に書ききれなくなる。ペンの後端についたゴムで擦ると、いま書いた線の塊が針金になってまとめて移動できる画期的な文具に驚く。

(2017年5月3日その2)