rhizome: アーケード

自律岩絵具

基礎デザイン研究室でコーヒーを飲んでいると、Hが面白い画材を見つけたと言う。ふたつの色を塗り分ける境目に幽玄な風景が勝手に現れる岩絵具で、旧街道の日本画画材店が開発しているらしい。顔料の粒子がそれぞれアトラクタになって陣地を競っている、というのが僕の仮説。Hは網タイツを重ね着して、タイツの隙間に何人か別の人が嵌りこむエロいワークショップをやっている。幽玄な景色を見に行こうと、小皿を掌に載せてアーケードの商店街を歩くと、皿のなかで緑の果汁と黄色いマンゴーが反応して芳香を放ちはじめる。

(2018年1月15日)

外食街道

パサージュのガラス屋根直下でごろごろしている家族を招集し、外食に出かける。広い街道が分岐するあたりで、いくつかの中央分離帯にわかれて食事を始めると、幅広の冷凍車が停車し、向こうの卓のおかずに手がのばせない。そこで停まられてはとても迷惑だ。

(2013年9月10日その1)