時間を超えた同居人

僕の部屋に、二人の闖入者がいる。厄介なことに、自分自身が闖入者でないという自信がもてない。見知らぬ男が二人、そして自分の合計三人、このなかの誰か一人がここの持ち主で、あとの二人はウソをついている。困ったことに、誰一人ウソをついているようではない。
この中の二人は、タイムスリップで現在にやってきてしまったのではないか、と一人が言う。全員がここの主であるが、それぞれ別の時間を生きているなら説明がつく。きっとそうに違いない。では、今現在の持ち主が誰かはっきりさせるために、部屋の中にある物それぞれについて持ち主を割り出せば、間接的に部屋の持ち主がわかるのではないか。
しかし、床に並べた小物をひとつづつ検証していけばいくほど、三人それぞれの主張する所有物がほぼ均等に配分されてしまい、ますますそれぞれの浮遊感が増していくのだった。

(1999年8月27日)