1996/12/24  Yoshiko Sekiguchi 因縁の一族と雷神デイリュウサイドンリュウ



(夢)夢の中で、私は漫画を書いている。それはとても因縁に満ちた呪われた 家系の話で、その家に生まれた美しい女の子が7歳になるまでを、はじめは 丹念に描いている。女の子の名字は「ミヤマエ」で名前は「コノハナノサ クヤヒメ」である。このあたりに、将来何かが起こりそうな予感が漂って いる。女の子のおじいさんは、「ミヤマエ ギイチ」といい、とても柔和 なお坊さんで、その息子は名前はよくわからないが、実直そうなおとうさ んで、どこにでもある一般家庭のようにみえる。古い家屋には、頭を丸め た石坂浩二が同居しているが、ある日忽然と消える。それが事件の予兆に なっているのだ。私としては、大変うまく伏線が張れたものだと思いなが ら書き進めている。

女の子が7歳になったある日、家の前の海岸で彼女は古い桜の木を発見する。 その桜の木は女の子の家に伝わる恐ろしい秘密を封印した古木なのだが、 なぜか女の子が7歳になるまで発見されなかったのだ。 古木をみつけた女の子は、もうすぐ自分のやさしいおじいさんをねらって、 「デイリュウサイ ドンリュウ」というおそろしい雷神が現れることを悟 る。過去、何代かのこの家の当主は、このデイリュウサイという雷神と闘 って地球を守ってきたのである。おじいさんは、実は「ソガ」の生まれ変 わりなのだ。しかし、おじいさんはあまりにも柔和でしかも歳をとってい る。女の子は毎日悩んだ末、すばらしい、おじいさんを助ける名案を思い つく。
ある曇った夜に、ついにデイリュウサイが姿を現す。これが非常に恐ろし い姿に描くことができて満足する。しかも、デイリュウサイの動きだけは カラーのアニメになっているのだ。
桜の古木の先の海から現れたデイリュウサイは、火柱をあちこちに投げつけ、大きな目玉をぎょろぎょろさせながらミヤマエギイチ実はソガに近づく。ソガは家の前の海に向かって立つお堂に逃げ込む。あやうしミヤマエギイチ。しかし、これは私が書いている漫画なので不安になることはないのである。
ミヤマエギイチは、お堂からさらに逃げてさっと、お墓の中に姿を隠す。目をぎょろつかせてギイチを探すデイリュウサイ。すると、前方の海の上からギイチの高笑いが聞こえる。お墓の中に隠れたはずのギイチがなぜ、海の上から現れるのかというと、これはアップにすると実はギイチではなく、実直そうなおとうさんが宙乗りで現れたのであることがわかる。すべてコノハナノサクヤヒメが仕組んだトリックなのである。
おとうさんの両脇には特殊な針金が吊ってあり、これが火柱を避けるしかけであることがわかる。山場である。大仰な動作で火柱を投げつけるデイリュウサイ。宙乗りのおとうさんの上空に、墨絵のような大入道の形の雲が現れ、それが火柱となっておとうさんを襲う。しかし、仕掛け通りその火柱は針金を伝って海の上に逃げてゆく。
やった大成功だ、と思うがしかし、これではデイリュウサイそのものはまだ生きている。今の渾身の一撃でもう火柱パワーを飛ばす力を失ってしまった、というのでなければ、親子三代が感動の再会を果たす場面を描くことができないし、話が終わらないではないか。
ここはちょっと話を書き換えて、針金の先を持ったサクヤヒメがデイリュウサイにうまいタイミングでそれをまきつけ、デイリュウサイが自分の放った火柱で焼かれてしまうという結末はどうだろうか。しかし、そんなにうまいタイミングでデイリュウサイに針金を巻き付けることができるのだろうか。また、サクヤヒメはどこに隠れていたことにすればいいのだろう。あるいは、はじめから針金の先はお堂の前庭に回路のように巡らされていて、デイリュウサイの火柱で発生した電気により、デイリュウサイが感電死するというのはどうだろうか。しかし、それではお墓の中に隠れていた おじいさんまで感電してしまうかも知れない。
はじめはいいトリックだと思ったのだが。 ストーリーの展開が決められずに悩むうちに目が覚めてしまった。

せっかくのクリスマスイブにこんな夢を見たなんて、悔しいです。


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