1996/10/25  Yoshiko Sekiguchi 渋谷の墓地



(夢)
会社の友人達を自宅に呼んだら、居間に見知らぬ男性がいて私の夫のよう
に振る舞っていた。これでは、会社の人たちがこの男を私の夫だと思って
しまうではないか。
そのことで大変に立腹して、私は道玄坂をずんずんと上っていた。すると、
円山町の入り口にあたる交差点のあたりで、異変がおきている。そこでは、
角の飲食店がすっかり姿を消して、白い幕が張られており、どうやら大き
なお葬式が出るところらしい。不吉な雰囲気がただよう中、私は自分の服
装がその場で目立ってしまわないかどうかを点検した。なんと、私ときた
ら、花柄のシャツにど派手な蝶の柄のスカーフをして、赤いパンタロンで
堂々と歩いているではないか。これでは、葬列の中で浮いてしまう。
そこで、私はこそこそと人目をさけるように円山町方面に折れている小径
に入っていったのだが、そこは道の両側が墓地に変わってしまっているの
である。
日暮れ時の墓地というものは苦手なので、小走りで駆けていくと、坂をの
ぼりきったところで、崖につきあたった。眼下は広大な関東平野で、遠く
に利根川がみえる。
大変なことだ。ここから飛び降りるには、まず赤羽の駅ビルで高所からの
飛び降り方の訓練を受けないといけない。しかし、赤羽は崖の下だ。
崖から飛び降りるのに、崖の下のビルでのレッスンを受けなければいけな
いとは皮肉なことだ。
しかし、私はなんどか転びながらも、一生懸命崖を降りて、そのひなびた
赤羽の駅ビルにたどりつく。もう、訓練を受けるために長蛇の列だ。その
列の中には、さっき家に遊びに来ていた会社の友人もいる。
しょうがないので列にならび、やっと屋上にたどりつく。みんながビルの
下の道路にむかって飛び降りていくが、インストラクターがついているよ
うすはない。おかしいな、ほんとに私のような初心者向けの教室なのだろ
うか、ほんとうは、もうすっかりビルから飛び降りてしっかり着地するす
べを身につけた人の列なのではないだろうか。
前の列の人が飛び降りる。どの人も、すっかり決まったポーズで、下の道
路に降り立っているようだ。
さて、私は跳んだものだろうか。



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