1997/02/05 一色真理 1500光年彼方の夢


(夢)
 休暇に入ったのに、詩人のA氏に命じられて2本も、地方取材の仕事が入って しまった。その1本目の仕事で浜松に行く。駅ビルの人混みを歩いていたら、股 がかゆくなった。ボリボリと掻く。あれ? 痒いところに直接手が触れる。気 持ちはよいが、おかしいと思って、改めて手で触れると、ズボンに穴があいて いるではないか。これは困った。誰かに見つかりはしないかと不安になる。  駅ビルを出て歩いていくと、途中の道路で男が「車に表示を描きます」と売 り込みをしている。たとえば男自身のトラックははるばる揚子江の方からやっ てきたので、横腹に「揚子江から」という文字が描かれている。そんなもの描 かれてはかなわない。慌てて逃げる。

 とうとう3本も取材が入ったが、なんとかこなした。取材の結果をイラスト原 稿に起こしてもらわなければならないので、会社のデザイン部に行く。会社の デザイン部は別のビルにあるので(これは現実)、そこへ行く遊歩道を歩いて いると、途中でデザイナーのNくん(現実にはかなり昔に退社し、今はフリー )に会う。彼はぼくが持ってきた仕事について「急ぎですか?」と尋ねた。 「いや、イラストなんだよ」とぼく。彼は「良かったあ!」とにこにこする。 「でもねえ、一つはとても遠い所を描くんだ。1500光年も離れた宇宙の彼方の 揚子江のそばなんだ」と、ぼくは言う。(〜夢)


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