河口付近の三角州地帯に住んでいると、ラッパ形の噴出機が絶えず砂を撒いているので、自分の敷地と他人の敷地の境界線はいつも砂に覆われしまう。いつのまにか部屋に紛れ込んできたルームサービスが、冷蔵庫をあけて「ビールはいかがですか」などと言うが、それは僕の私物だ。靴底でベランダの砂を払うと黄色い地面があらわになり、そこには小節の区切り線があらかじめ引かれた五線譜がある。
(2013年1月20日)
河口付近の三角州地帯に住んでいると、ラッパ形の噴出機が絶えず砂を撒いているので、自分の敷地と他人の敷地の境界線はいつも砂に覆われしまう。いつのまにか部屋に紛れ込んできたルームサービスが、冷蔵庫をあけて「ビールはいかがですか」などと言うが、それは僕の私物だ。靴底でベランダの砂を払うと黄色い地面があらわになり、そこには小節の区切り線があらかじめ引かれた五線譜がある。