カラスを掴む

目の高さまで書類が堆積している見通しの悪い部屋で、カラスを捕えようとしている。書類を丸めてはカラスの上に投げるので、カラスはなかなか飛び立てない。いよいよ部屋の隅まで追い詰めると、うかつにもわずかに開いた扉の隙間から、次の部屋に逃げ込んでしまう。そこは一変して整然と机の並んだ病院の薬局で、カラスはもう一羽と合流して二羽になっている。
一羽は、白い羽にさまざまなブルー系の色が浮かび上がっている。もう一羽はオレンジ系の色に彩られている。カラスに異変が起きたのではなく、追いかけてきた僕の目の異変であるのに間違いないのは、彼らの映像それぞれにひらがな三文字の名前がオーバレイされていることでわかる。立て続けにその名を呼ぶと、僕は左手に一羽、右手に一羽、それぞれの足を握り、吹き抜けの広い空間を自在に飛び回ることができた。

(2007年4月14日)