東武東上線の上板橋と常盤台の間に、教会がある。その教会の前に立って線路の方向を見ると、ポプラのように背の高い樹がある。その樹は、まるで葉脈のような形をしていて、教会の方から見ると樹形だが、横から見ると薄くて樹には見えない。 その樹を見ようと、上板橋から常盤台に向かって歩くのだか、なぜか樹を発見する前に駅についてしまう。何度往復しても、樹が発見できない。 ふと右の掌をみると、いままで黒子だと思っていたものが、葉脈状に広がっている。僕は、ああここにあったのか、と納得する。
ちなみに、教会は実際にあった。樹は、実際にもなかった。