Tabula Pixema 概要

『タブラ・ピクシマ』は、絵をピクシムと呼ばれる要素で描いていく新しい概念のペイントシステムです。ピクシムは、言語における音素 phoneme、形態素 morpheme に倣った、絵における絵素 pixeme で、ピクシマ pixema はその複数形です。

ピクシムは、形や色が固定された定数ではなく、交換可能なピクシム群=ピクシマを代入できる変数です。画家が確定的に絵を描いていくペイントシステムと違い、一筆ごとの描画は、いずれほかのピクシマと交換されることを前提に描かれます。その結果、ピクシムの集まりとして描かれた一枚の絵は、画家が描いたかもしれない無数の絵の束すべてを含むことになり、また同時に他の画家の描いた絵の束と絡み合うことにもなります。 また、『タブラ・ピクシマ』によって生成された絵の出力をピクシマ・プールに戻すことによって、無限増殖回路が始動します。

『タブラ・ピクシマ』は、ユーザーインタフェース、グラフ構造編集などを前作『カンブリアン・ガーデン』をベースにして作られています。現在、基本構想の半分にも満たない状態ですが、いずれ汎用のアイデア無限増殖回路として発展させていく予定です。

 『顔ポイエーシス』は、タブラ・ピクシマによって描かれた安斎利洋と中村理恵子の絵を増殖回路の中に共存させることによって、私の絵の無数の可能性と他者の絵の無数の可能性を遺伝的に交配する実験です。個の境界線を問い続けてきた連画の、新しい地平でもあります。

tabula pixemaの操作画面

安斎利洋