飲み屋の隣に座っている黒服の男が、店の裏手に放置されたアナログレコードプレーヤーから抜いてきたバッテリー(ほかにもっとレアな部品があったろうに…)をポケットにねじ込む。彼は掌に乗るほどの小さい家の模型にストローをあて、らせん状にほどける外壁をするする吸い込んでいく。家はみるみる低くなる。ふたたびストローから紐が射出されると、前とは違う家が出来上がっていく。
(2017年12月19日)
飲み屋の隣に座っている黒服の男が、店の裏手に放置されたアナログレコードプレーヤーから抜いてきたバッテリー(ほかにもっとレアな部品があったろうに…)をポケットにねじ込む。彼は掌に乗るほどの小さい家の模型にストローをあて、らせん状にほどける外壁をするする吸い込んでいく。家はみるみる低くなる。ふたたびストローから紐が射出されると、前とは違う家が出来上がっていく。
空軍を退役しコックをしている私を、彼は二人乗りステルス機のパイロットとして雇い入れたいと申し出る。ホテルのフロントに、囚人服風のTシャツが届けられる。これを着ても、彼の思い通りになるつもりはない。その意思表示のため、私は三角形の小型機に彼を乗せ、ぎりぎり海面をかすめて飛び、ブロッコリーの内部を曲芸飛行で切り抜けた。ブロッコリーの森には、下草ブロッコリーの入れ子層があり、完成間近の国立競技場もそこに生えている。3Dプリンタによって不当に早く完成に近づく国立競技場を、私も彼も快く思っていない。その点で私と彼は、大いに意気投合している。
完成記念パーティーに出された酒のあとのご馳走は、陶器のオーブンで炊いた白いご飯だった。