rhizome: 調査員

カルデラに津波

カルデラの底を歩いていると、小学生の長谷川誠君が笑いながら近づいてきて「津波が来るのにまだここにいたの」と揶揄するように言う。僕は、そんなことは知っていたとばかり悠然と岩場を登り始める。馬の背まで登ぼりつめたところで振り返ると、火口壁の低い縁を乗り超えた津波がみるみるカルデラの平地を湖に変えていくのが見える。近づいてきた調査員がアンケート用紙を差し出し、Q.なぜ津波が来るのを知りましたか、A1.友人に聞いた、A2.ラジオで聞いた、などと読み上げる。いや、前から知っていたから1ではない。念のためこのあたりで一番高いところまで登ると、小屋の男がスコップで地面を削りながら、この土地は砂糖の干菓子だから水には弱いと言う。

(2015年2月11日)