momoちゃんの部屋には、momoちゃんの弟のジーンズの輪切りがいくつもあり、それぞれに内径が書いてある。弟の成長に従ってサイズが太くなるので、ずいぶん長期にわたるサンプルであることがわかる。momoちゃんは歯を磨きながら、あっ沢庵まだ食べてなかった、と口走る。
(2018年4月6日)
momoちゃんの部屋には、momoちゃんの弟のジーンズの輪切りがいくつもあり、それぞれに内径が書いてある。弟の成長に従ってサイズが太くなるので、ずいぶん長期にわたるサンプルであることがわかる。momoちゃんは歯を磨きながら、あっ沢庵まだ食べてなかった、と口走る。
水路に面した懐かしい家にたどり着き、木の階段を二階に上ると、勾玉の形をした七世さんの分身が何体も横たわっている。大きさが一様でないのは、胚から魚になり、魚から尻尾が取れるまでの系統発生図の各段階が何かの弾みでばらばらになってしまったからだ。
一階で芝居が始まろうとしている。桟敷の隅に腰を下ろし、あたりの喧騒をぼんやり眺めている。背後から包み込むように七世さんの匂いが近づいてくる。懐かしい感情が鼻腔を満たす。