立体交差の歩道橋はまだ橋脚がなく、工事予定の位置に青ペンキで四角いマークが記されている。背の高い枯草に囲まれた現場用のプレハブで、薬師丸ひろ子がガラスコップに自分の乳を搾り、差し出してくる。
(2018年5月8日)
立体交差の歩道橋はまだ橋脚がなく、工事予定の位置に青ペンキで四角いマークが記されている。背の高い枯草に囲まれた現場用のプレハブで、薬師丸ひろ子がガラスコップに自分の乳を搾り、差し出してくる。
丸顔の非常勤講師が、野菜の入っていたネットを顔に近づけたり遠ざけたりしながら、こうすると丸みの本質を感じると言う。彼は、プレハブの二階にある教室に登ってきて、演歌などの音符を蜜や抹茶でくるんでグループ化するデモをはじめる。
姿形は土地の人間なのだが、自分はまったく違う世界(たとえばほかの星)からやってきたのだ。何度もそう自分に言い聞かせながら、だだっ広い校庭を歩いている。反復していないと、そのことを忘れてしまうので。
プレハブの建物がある。中には、同胞が集っている。彼らもやはり姿は普通の人間なので、お互いに確認し合うために集まっている。ドアを開け中に入ると、強力な換気扇が空気を外に排出しているため、気圧が低く息苦しい。それが同胞にとって快適な気圧なのだ。
校舎に入る。そこにいる同胞は、姿形は人間なのだが奇妙な着ぐるみを着ている。あるいは、その着ぐるみの形態がわれわれ本来の自然な姿なのかもしれない。着ぐるみの頭はねずみやリスのようで、尖った先端に茶色い鼻が無造作についている。鼻は乳首の先端のようにも見える。その鼻のような大きい乳首のような何かを、お互いに何度か口で吸いあうのがわれわれの挨拶だ。