覚連画は、全盲の造形作家、光島貴之と、中村理恵子+ 安斎利洋の三人による、連画セッションです。光島は近年、粘着テープ(レトラライン) や粘着シート(カッティングシート)を用いた独特の手法による触覚絵画を追求してお り、一方中村と安斎は、1992年からデジタルデータとしての絵(コンピュータ・グラ フィックス)をネットワークを通して送りあい、相手の絵に手を加えることによって、新 しい自分自身の作品を作り出していくコラボレーションアート「連画」の実験を続けてき ました。触覚連画は、そのふたつの創作実験が出会ったところに生まれたと言うことがで きます。 触覚連画は、1998年のはじめに光島によるふたつの作品を種として出発します。光島 作品は、スキャナによってデジタイズされ、安斎と中村それぞれによって連画作品として 作り変えられます。デジタルデータとして生まれ変わった新しい作品は、次に触覚で理解 できる出力形態をとり光島に送られ、光島の手の中で変容します。このような経過をたど り、見るとは何か、触るとは何かといった問いかけを畳み込まれた「形の対話」が成長し ていきました。触覚連画は、中村VS光島、安斎VS光島の、二つの話線でスタートしま したが、途中意図的な混信によって交配されていく様を見ることができます。

法の追求
安斎と中村による画面の中のCG画像を、触覚世界の光島に伝達するために、ふたつの手 法が用いられました。ひとつは、プリント画像を熱処理で凹凸加工する方法。もうひとつ は、カッティングシートをカッティングプロッターで切りぬく方法です。カッティング シートは、剥離紙がついたままの状態で光島に手渡されるので、剥がして再構成したり、 新しい要素を加えることができます。

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