1996/2/24 安斎利洋 レンズ屋


日が暮れかかっている。ぼくは、鍵を学校に返して、学校をやめようかと考えながら歩いている。坂の上からちょっと下りかかった広い道。中州のように、幅30cmもないような幅の狭い木造の建物。そこはレンズ屋で、覗いてみると明るい裸電球の灯りの中で、おじさんが作業をしている。ガラスの戸が、まるで標本箱のふたのようで、左の方から、ガラスの原石、それをちょっと加工したもの、大小さまざまなレンズがぎっちりつまっている。小さい、ちょっとセピアがかった色のついてしまった、油にまみれた小さいレンズに、なにか文字が書いてある。 車がかすったら、ひとたまりもないじゃないか。と思いながら、建物と、暮れていく 空をみている。


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