1997/03/某日 安斎利洋 横臥合奏
(夢)
深い森の中の建物。山小屋の夜のように、たくさんの人がひしめいて眠っている。僕もその中にいる。柳沼麻木さんが巡回してきて、いきなり顔をめがけて、小麦粉のようなものを投げつけてくる。僕は抵抗しようとするが、体が動かない。これで、僕は体のコントロールが自由でないことを了解する。これは、身体障害の体験ワークショップなのだ。
僕らは、このワークショップのために作った装置を実験しようとしているのだ。横たわっている人々は、それぞれの障害に応じて、ひとつづつスイッチをもっている。部屋にはミニマルミュージック風の音が流れている。スイッチを押すと、音楽とぴったり同期して、あらかじめプログラムされたパッセージが流れる。スイッチをずっと押し続けることはできない。一定時間内に押せる頻度が決まっているからだ。
横たわった人々は、ほとんど体を動かすこともなく、静かにスイッチを押すタイミングを計っている。音楽がだんだん重層的になってくる。僕は、心臓がドキドキするのを感じる。
(〜夢)
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