1996/12/15 安斎利洋 故宮ゲーム



(夢)小高い丘の上に、北京の故宮を思わせる広大な建造物がある。なだらかなスロープを登る動く歩道の両サイドは、凸凸凸凸という形の石のブロックでできている。その凸凸の間の窪みにすっぽりとかがみ込むと、まるで昔乗ったお猿の電車のように、ゆっくりと宮殿に向かって進んでいくのが楽しい。 と、突然「そこに座ることがどういう意味をもっているのか、おまえはわかっているのか?」という声。「そこに座って編隊を組むことは、対岸の編隊に対する戦線布告を意味するのだ。おまえがそこに座ったおかげで、仲間を集めなくてはならないじゃないか。」 いかにも迷惑げな口調にもかかわらず、彼の顔は嬉々として昂揚している。編隊は芋虫の形をしており、僕は最後尾の芋虫の鍬型の尻に移動するように指示される。そうしている間にも、対岸の凸凸凸には関西勢が刻々と集まってきて気勢を上げている。 窓から垣間見る宮殿の内部には、緑色のサターンや魑魅魍魎、さまざまなクリーチャーが蠢いている。これからわれわれはこの内部に入り、戦いが始まるのだ。しかし、僕はこのゲームのルールすら知らない。 暗い宮殿に入ったとたん、ぼくは芋虫の本体から離脱してしまう。胸も露に登場したジャンヌダルク風のRに「ったくよー、何も知らないでここまで来るか?」と非難される。「私に任せておけ」という言葉に安堵しているのもつかの間、邪悪なオレンジ色の蝶に後ろから抱きかかえられ、捕獲されてしまう。これで、僕はゲームオーバーだ。 宮殿の外には、宮殿の荘厳さとは似つかわしくない寒々とした空地があり、一台のブルドーザーが放置されている。そこに<安斎>と自分の姓が書かれている。従兄弟の安斎某が、中国にまで事業を展開しているのだ。彼は気さくだがけっこうずるがしこいから、気をつけなくてはならない。


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