rhizome: 銀行

換金タクシー

銀行でまんまと四億円を引き出し、一刻も早くここから立ち去りたいのだが、たまたま止めたタクシーが相乗り制で、すでに乗り合わせている面々はみな怪しげな顔立ちなので、料金を払って自分だけ先に降りたいのだが、財布を忘れて現金がないというか、現金はあるのだが紙包みをほどいて紙幣をとり出すわけにもいかず、わずかに破れた隙間から指を入れて取り出した二枚の紙は米良先生の短いメッセージが書かれた葉書で、残りの紙束はすべて真っ新な展覧会の案内状であることがわかり、この葉書は四時間以内に換金しないと無駄になると乗り合わせた男に忠告されるが、見渡す限りふつうの家ばかりの住宅地をタクシーはひた走っている。

(2013年2月25日その2)