rhizome: 藍色

粘土戦争

中華料理屋の二階に、粘土頭の侵略者たちが刻々と迫っている。僕は藍色の子供を抱いて、滑り台の浅い溝に身を隠している。仲間たちは京劇の楽器を鳴らして粘土頭たちを威嚇しはじめたが、しかしいずれは捕えられ、頭を粘土に挿げ替えられることを覚悟しはじめている。僕はその子供を連れて押入れの奥に逃げ込むが、粘土頭の王(わん)さんに見つかり、私はあなたがたをかくまうから声を出さないでそこにいるように、私はみんなからお父さんとよばれているから、と言われる。
数年の後、久しぶりに藍色の子供が声を出すと、遠くから「その声は民枝か」という夏ばっぱの声が返ってくる。中華料理屋のテラスでは、粘土頭と講和を結んだ首相を仲間たちが囲み、不平等条約を糾弾する声をあげる者もいる。

(2013年9月26日)