rhizome: 田んぼ

万能スノーボート

新種のスポーツだ。スノーボートのようだが、湿地、田んぼ、草っぱをぐんぐん滑っていける。簡単で気持ちがいい。本当はもっと別な、もっと難しいことをするつもりでここに来たのだけれど、日も沈みかけているし、ちょうどこの程度が楽しくていい。そう思っていると、小島陽子さんが、
「私が今日買うとしたら、これかしら」と、もう買う気でいる。それじゃ、プロの**さんに紹介しよう。
部室のような狭いところで、名前を思い出せない彼は、草の上を走るのは邪道だというようなことをさかんに言いはじめる。
「それは、本格的なものはこの程度じゃない、という意味ですか?」
「そうだ」とプロ。
小島さんが、買うか買うまいか、悩みはじめてしまった。

(1996年7月13日)