rhizome: 現代美術

裏山の円卓

会田くんは自分のビルの階段を駆け上がり、階段と地続きになった裏山の坂を登り始めた。人がぎりぎり登攀できる急峻な坂で、狭いトンネルをくぐりながら会田くんはズボンを脱いでしまう。Rは「パンツも脱いじゃえ」と囃したてる。この会田は、何人かの知っている会田が混ざっている。坂を登りつめると、視界に広がるグラウンドに向かって歓喜の雄叫びをあげ、われわれ3人はぬかるみの中に放置された円卓を囲み、会田くんの友人たちと狭苦しい現代美術の話などをした。

(2013年12月24日)

モデルは作品ではない

公募展の腐った体質に反逆する現代美術家が、作者も作品もないという主張をこめて、モデルさんの顔にコンセプトを書きはじめる。目の下に塗った白粉に「視線をエンハンス」と文字を書き込んでいる。これは作品かと訊くと、作品ではなくモデルだ、と頑なに否定する。

(2013年11月2日その1)