rhizome: 照明

中洲宴会

自宅裏手の深く切り込んだ崖に、珪藻土の小片を落としてしまう。強力なライトで崖底を照らすと、老婆がまぶしそうに見上げながら珪藻土をこちらに差しだしてくれる。老婆からはライトを持っている人間は眩しくて見えない。駅前の人の流れを分ける小高い中洲で、飯田くんと水越さんが宴をひろげている。歩道橋に陣取った放送ブースの男が、中洲呑みはメディアか、などとめんどくさいことを聞いてくるのでシカトする。遠方に見える自宅の照明が灯台のビームを出しているのを見て、照明は照らされる側にとって暴力だと飯田君がいう。操車場の貨物列車に乗った数百体の彫刻が、シルエットの行列をなしていま動き出したところ。

(2017年12月31日)

CG学会の宴会

竹内君が持ってきたその作品は直径20cmほどの魚眼レンズで、覗き込むと中に黄色い草原があり、黒い老学者がくるくる回りながらそこを渡って行く。作品にはカタカナのエキゾチックな名前がついていたが、思い出せない。
温泉宿で行われているCG学会の宴会はところどころ強いライトがあたっていて、人間が干物のように乾いてしまう。みな口ぐちにこんな照明の設定はやめるべきだと言っている。しかし光が弱いと魚眼レンズの暗闇に沈んでしまうのではないか、と反論する男もいる。

(2014年10月24日)