rhizome: 布張り

文京の水路

文京区に張り巡らされた水路を、草原真知子さんとボートで巡っている。お互いの家族の話などをしながら、いつのまにか水路の網目の深いところまで入り込んでしまった。これからボートを駅に返しにいけば、すでに始まっているクラス会に間に合わない。ボートを管理するロボットが、藍染の布を外皮として貼った顔をこちらに向けて、ボートはどこに乗り捨てても良いと言う。ただ、返却時には停泊するボートに真水を満たしてほしいとも言う。真水の水源を探すのは厄介だから、根雪を探してそれを抱きかかえて融かせばいいのよ、と真知子さんが言う。文京区の雪渓を探して水路をさまよううちに、川沿いのマンションの外壁を登る小学生たちに出会う。彼らは壁をいかに速く登りきるか競っていて、黄色や赤や緑の服をぱたぱたとはためかせながら次々とファインダーの上方にフレームアウトしていく。

(2013年6月2日)

絣の車

青い外車に乗って年長の男がやってくるのをガソリンスタンドで待っている。どのガソリンにするのか、と店員に尋ねられ、僕は運転をしないのでよくわからないが、牛肉がレギュラーだとするとマトンのようなガソリンだと思う、と答える。
絣(かすり)の生地で車体が覆われた車に乗って、男がやってくる。彼の目当てが僕の従姉だということは、うすうす気づいている。しかし玄関を開けると、立っているのは見知らぬ女性で、初めて会うにしてはあまりに顔が近い。

(2008年4月15日)