rhizome: 売春婦

日暮坂の群がり

日暮里の入り組んだ谷を登りつめると、怪しい人だかりが最後の坂道をふさいでいる。群がりを観察すると、それは数人の女を先頭にして、それぞれから延びる行列のもつれ合いだった。並んだ男たちは手に五百円玉を握りしめ、順番が回ってくるのを待っている。最前列の男が着衣のまま女の腹部に腰をこすりつけると、昆虫の交尾のように瞬く間に果てる。僕は連れの女とこの怪しい道を通り抜けたいのだが、なかなか前に進めない。そればかりか、じきに日が落ちてしまう日暮坂の夕景色を見ようと促しても、女はすっかりこの光景に目を奪われ、坂を登ろうとしない。

(2013年10月16日)