rhizome: 出産

出産宴会

自分の下腹部に、何かが下方向に一段ずずっと降りてくるのを感じたのは、円卓を囲んだ宴会のさなかだった。ついに生まれるのか、という思いは、なかば未体験への恐れと、やっとこれでこの腹のふくらみから解放されるのだという期待とがない交ぜになり、冷や汗が出るほど混乱している。マイクを持った友人が、男でありながら子を産もうとする彼の勇気はすばらしいが、決して自分はそういう馬鹿な真似はしないであろう、と賞賛とも揶揄ともつかない挨拶をしている。いよいよ腹部に違和感を感じながら、しかしもしこの圧迫感がたんなる便意だったら、どうやってこの場をしのいでいいのか不安になる。

(2004年4月27日)