神田うのの缶詰

神田うのが得意げに持ってきた缶詰を、僕はわくわくしながら開けはじめる。お弁当箱くらいの大きさで、(コンビーフ缶のように)ハンドルでぜんまいを巻くように開けていくと、中は完全に乾いて黒炭化している。これっていったい何時代の缶詰?缶詰だって賞味期限があるから二年くらいでダメになるよ、などと、周りから口々に非難の声があがる。神田うのは口をとがらせている。

(1996年8月1日)