溶岩で描く絵

ラブホテルで部屋を探している。ショーケースに並んだ張り紙には、一か月十万円などと書かれてあり、ホテルと不動産屋の兼業はなかなかうまい商売だと感心する。連れが誰なのか、よくわからない。その後ろめたさの反動で、相手はしだいにくっきりと「あだちゆみ」と確信される。選んだ部屋に入り、わずかに開いた窓の外には溶岩が流れている。迫る溶岩は、のしかかるように見えるのが通常の遠近法だが、この窓からは鳥瞰したマグマの模様がしだいに領域を増やしていくように見える。このように見えるのは、真上からのビューを得るシステムが溶岩のマテリアルに組み込まれているためで、これを使えば絵を描くプログラムが作れるのだ、ということをあだちゆみに説明するのだが、パソコンでないのにプログラム?というあたりから理解してもらえず、埋まらない溝にいらだちながらあだちゆみが「さようなら」と言うので、僕はなぜこの部屋でずっといっしょに暮らせないのか、とひどくと感傷的になり、こみ上げてくる涙がばれないように、いっそ早くこの場を去るよう促すのだった。

(2006年9月17日)