正多面体LED

家々が建て込んだ迷路のような実家裏手の空間をなめらかに渡り歩くには、熟練が要る。組木細工のどこに手をかけ足をどこに移すか計画的な手順が肝要で、間違えると行き詰ってしまうのはボルダリングと同じ。なんとか改築中の実家の玄関までたどりつき、広間にひしめく聴衆とともに技術発表を待っていると、それぞれの面を別の色に光らせることができる正多面体のLEDが宙に現れた。大日本印刷の友人たちが歓声を上げるが、なにが画期的なのか僕にはわからない。

(2015年8月10日その2)