MONET’S MAPPINGSについて
『Monet’s Mappings(モネの写像)』は、平面×時間配列としての動画像から形を写し取る一連の試みである。
1980年代から90年代にかけて、私は写真から絵を生成するためのシステムと作品を発表してきた。しかし一枚の写真にどのような変換をかけても、それは空間から空間への写像の限界から抜け出すことはできない。画家は、運動の痕跡であり運動の契機でもある〈形〉に関心を向ける。モネの睡蓮は庭園の空間を写すだけでなく、対象の運動、筆(身体)の運動、色彩の運動を映している。
『Monet’s Mappings』は、動きの痕跡、動きから色彩の抽出、動体の輪郭の抽出、動きによる形の変形、濃淡による時間の伸長などの技法セットである。ひとつの動画から、複数の絵画と、副産物として動画を生じる。
Differential Opera について
街なかを行き交う人々に数十秒間カメラを向け、日常空間を切り裂きながら動く身体の動画像を、空間の滲みと時間の滲みの演算によって変換した。
再帰レンズと呼び馴らわしている非線形フィルタを介することによって、動画のコマとコマのなめらかな補間の結果になめらかではない変化が生じる。動画像の差分の中に、日常空間では無縁の人々の微細なドラマが生まれる。
再帰レンズによる過去の作品
(このページは逐次加筆していきます)