「二十一世紀夢の技術展」2000/7/21~8/6 IBMの展示ブースにて、二台のPCによる対話型ネットワーク・ペイントシステムを公開。
公開時のちらしより
画面にひろがる一面の砂。マウスを動かすと、尖った棒や釘でなでたような軌跡が残ります。砂のようでもあり、見方によってはアルミ箔のようでもあるこの膜は、砂でもアルミでもなく、通信機です。
試しに、インターネット越しに接続したもう一台から線を描いてみると、あちら側の凹はこちら側の凸になって出てきます。こちらの凹は通信先の凸に、膜をは さんで出っ張りと引っ込みの反転した絵が残ります。膜上を動く鋭い凹の点はあなたの指先、ツンと尖った凸の点は相手の指先。凹と凸のおりなす不思議な痕跡 で、ときに助け合い、ときに消し合いながら、ビジュアルな会話や線のバトルを楽しむことができます。空気も音もない砂の惑星で、もし知的生命が電話を使っているとしたら、きっとこんなメディアに違いありません。
moppet、天球作図機、InterWallなど、連画の考え方を基礎にした大掛かりなソフトウェアやインスタレーションを近年作り続けていますが、砂絵交信機は連画の基本である一対一の対話にたち帰った素朴なガジェットです。6月末にICCで開催された石井裕+タンジブル・メディア・グループ/MITメディアラボによるタンジブル・ビッツ展を見て、われわれにとって最も新鮮だったのは、始めて見る伝説のクリアボードでした。仮想の透明膜に線を残しながら、膜をはさんで向こう側に相手を感じる。この素朴な驚きを実現するために、動画像などを使わない我々流のソリューション(解)を求めるとしたらどうなるか。そういう思考に基づき、ほんの数週間の突発的集中力で作りあげたのがこのソフトウェアです。砂絵交信機は、われらの敬愛する石井裕へのトリビュートでもあります。
連画プロジェクトの応援者のひとりであるIBMノリ加藤さんとの友情によって、今回も作品実現のチャンスを得ました。ゆめテクIBMブースにて、2台のPCによる砂絵交信機が体験できます。
21世紀夢の技術展
日付 : 2000年7月21日(金)~8月6日(日)
場所 : 東京ビックサイト